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第71話 セット売り

「ええ、わかっておりますよ。私のイーリアを困らせた者たちのために『幽霊の下女に命を狙われた者の末路』の噂を流しておきました」

「……なんですか? それは?」


 なんだか変な言い回しをされましたわね。私を困らせた人たちのために……って、もしかして嘘の噂を流したのですか?


「今晩から眠れない日々を送ることでしょう」


 リカルド様。悪い笑顔を浮かべていますよ。


「なので、今回は幽閉された王女で行こうと思います」

「え? 幽閉されていたのは王女様だったのですか?」

「ええ。歴史では忌み子の王女と書かれていましたが、真実は闇の中ですね」


 忌み子ですか。どういう意味合いで、そう歴史に残されたのでしょうか。


「マルメイヤー領では幼い王女の話は有名らしいですからね。古城からでたい王女の設定であれば、オルビス・ラヴァルを連れ出すことも可能でしょう」


 確かにそれであれば、不審がられずに……幽霊設定という時点でアウトではないのですか?


「幽霊の手を取る人がいると思いますか?」

「イーリアが書いていたメモ書きを懸念するのであれば、必ず手を取るでしょう」


 自信満々でリカルド様は言ってくれますが、それはまだ予想の範囲であって、確実なことではありません。


「取り敢えず、テントを出して休憩しましょうか」


 そうですわね。確かにここには雪が積もっていないとはいえ、冷たい風が吹き付けていますもの。


 しかし、ワイバーンにテントがくくりつけられているとは思っていませんでした……ってこれは!


「リカルド様。いつこれを母から購入したのですか?」


 リカルド様はドレスが入っていたカバンから、絶対に入らない大きさのモノを出してきました。それも見覚えのある木で作られたロッジ。


 一軒家です。


「それは、どちらのことを言っているのですか?」


 ということは、拡張収納機能がついたカバンも母が作ったものですのね。


「両方です」

「魔導生物の購入時にセット売りされました」

「セット売り! どのあたりがセットになるのですか!」


 魔導生物とカバンですか? それとも魔導生物とロッジですか?


「魔導生物全種類購入特典と言われてカバンを渡されましたね。そのカバンの中には色々入っていまして、さすが聖女マリー様と思わされました」


 魔導生物全種類購入特典……リカルド様が全部買ったと思っていましたら、購入特典があったのですか。


 時々母はよくわからない特典を付けることがあります。それが領地の購買意欲に繋がっているので、私は何も言いませんが。


 そうですか……あのカバンの中にはいったい何が入っているのでしょうね?



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