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第69話 王族の幽閉に使われた古城

 たどり着いたところはマルメイヤー公爵領の端。山間にある古城でした。

 昔は王家の直轄地だったと記憶にありますから、避暑地として使われていた離宮だったのかもしれません。


 しかし、ワイバーンで上空から近づくには不審者丸出しですから、開けた場所に降り立ちました。


 ちょうど古城が見下ろせる山の上。何かの建造物の痕跡があることから、見張り櫓かなにかがあったのでしょうか?

 ……何を見張るのでしょうね?


 そして、追跡の魔鳥は近くの木に止まっていました。古城の方を見ているので、やはりエリアーナという方の子供があそこにいるのでしょう。


「あの古城はその昔、とある王族の幽閉に使われていたと記録にありましたね」

「幽閉?」

「泉の中央に建てられているので、簡単には逃げられない構造らしいです」


 泉に囲まれているのですか! 確かに古城の正面に泉がありますので避暑地として使われたのかと思ったのです。それが城を囲うように泉があるのですか?


「普通に城に出入りするにはどうしているのでしょう?」

「正面に桟橋がありましたので、船ではないのでしょうか?」


 ……そうですわよね。リカルド様は元々帝国の方ですから、詳しいことまではわからないですよね。


「そうなると、夜に空から侵入ですか」


 おそらく、それしか方法はないでしょう。


「そのことですが、今回はこのような衣装を用意したのです」


 そう言ってリカルド様は、昔は流行ったと思われる、黄ばんだ白のドレスをカバンから引き出してきました。しかし、それは……


「それは私一人では着れませんわ」


 どう見ても背中に複数のボタンがあります。あと下にスカート部分をふくらませる何かを装着しなければならなそうな形ですわ。

 絶対に一人では無理です。


「大丈夫です。あとカツラも用意しています」


 真っ白な長い髪のカツラです。

 あの……私、カツラなんてつけたことないので、それも一人では無理ですわ。


「別の衣装は無いのですか?」


 交渉の余地があるのか確認してみます。


「昨晩、幽霊騒ぎがあったようなのですよ」


 その言葉にドキリと心臓が飛び跳ねました。


「どうも雪の中を彷徨っている下女の幽霊だったらしく、本城ではその話で持ち切りでしてね。怖くて夜の見張りをしたくないという衛兵がいる始末。情けないですよね?」


 リカルド様はいい笑顔で首を傾げながら聞いてきました。

 あの? これは自白した方がいいということですか?


 幽霊騒ぎの原因は私だったと。



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