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第68話 追跡開始

 翌お昼過ぎには、私は上空に舞い上がっていました。

 あのあと、押し問答したものの、リカルド様に強制退場させられて、部屋で休むように言われてしまったのです。

 監視だというルシア様を置いて……せめてルシア様は連れて戻ってくれてよかったのですよ?


 それから、早めの夕食を食べて、すぐにベッドに押し込まれました。

 母から食べたあとに直ぐに横になると『ウシ』になると言われたと、説得したものの今度は『ウシ』とは何かと聞かれてしまいました。

 ……異世界の生き物なので詳しいことは知りませんわ。


『肉が美味しいと言われました』と答えると、食べたあとに横になると肉が美味しくなると勘違いされたのです。その誤解を解くのに苦労しました。

 ですから、私も詳しいことは知らないのですよ。


「イーリアとの旅行が楽しみで中々寝付けませんでした」


 機嫌のいいリカルド様は今日は貴族らしい側近の服装ではなく、旅の傭兵という服装でした。

 なんといいますか、チグハグ感が酷いです。


 部分的な防御のためか、革製の防具である胸当てや肘下まである手甲をつけて、分厚い生地の詰め襟の衣服を着ています。

 なのに、どうみても貴族のキラキラ容姿。

 違和感しかありません。


 そして今日は黒縁メガネをしていないのです。もしかしてその姿で人前に出る気ですか?


 しかしワイバーンに乗ると聞いていたので、どうなるのか心配でしたが、ワイバーンに鞍をつけてきちんと座れるようになっていました。そして、上空の風は結界を張ってあるので快適な空の旅となっています。


「旅行ではなく、追跡です」


 はい。ワイバーンの前方には茶色の羽の鳥が飛んでいます。私の魔力でできた物体ですけどね。


「わかっていますよ。しかし本のページに張り付く紙とは目からウロコです。あれも聖女マリー様の考案したものですか?」


 私が本に挟んでいた紙のことですね。


「はい。便利だからと、使用人の一人に作るように命じていました」

「元聖騎士ですよね?」

「はい、元聖騎士ですが、今は使用人です」


 涙目で『イエス・マム』と言わされていたのを思い出します。しかし出来上がったものを見て母が喜んでいたのも事実です。


「あれだけの強者たちが雑用しているのはなぜかと思っていたのですが、聖女マリー様の采配だったのですか」


 使用人たちが強者? 何を言ってるのです。


「あの方々は前線ではもう戦えない方々ですので、戦闘には向きませんわよ。できて、弟の護衛ぐらいですわ」


 年老いているとか、精神的に不安定だとか、何かの理由で剣が握れなくなったとか、人それぞれ理由があります。

 行き場のない方々を母は使用人として雇っているのです。賃金は国から出ていると発覚してしまいましたがね。



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