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第64話 絶望オーラ

「ということは、その乳母エリアーナの子がリーネリア離宮にいないのであれば、子供と会わせるという手が使えるのでは?」

「別に拷問でもいいですよ?」


 駄目でしょう。それに相手は第二側妃に扮しているのですから。


「人から情報を得るには、その人から感情を引き出すといいと母が言っていましたよ」

「流石聖女マリー様ですね。今日お会いして、やはり敵にしないほうがいいとヒシヒシと感じました」


 母を敵にまわすなど、恐ろしいことをしないでくださいね。下手すると私も一緒に被害を受けそうではないですか。


「子供ですか……乳母の子供の話は出てこなかったですね。これはこれで不自然です。まるで存在自体を隠されてしまったかのように」


 私は少し考えます。もしかすれば、失せ物探しの術で、見つけることができるかもしれません。


「あの……子供の名はわかりますか?」

「戸籍にはオルビス・ラヴァルとあります。父親不明。母親死亡で、本人の所在が不明となっていましたね」


 ん? ラヴァル? これは伯爵家に引き取られたということではないのですか?


「ラヴァルと名乗っているのにラヴァル伯爵家に引き取られていないのですか?」

「ええ、表向きはマルメイヤー公爵家に使用人として雇われたとなっていますが、ラヴァル伯爵家から縁を切られたという情報があります」


 まぁ、そうでしょうね。婚姻は家同士の繋がりを現します。ですから、その婚約を破棄されたというのは、伯爵家にとって不利益が生じたのでしょう。

 するとその誰の子かわからない子供を引き取ることはしないということですか。


「わかりました。魔法で居場所を追跡できるかためしてみましょう」



 そして私は絶望しています。

 茶色い羽。黄色い嘴。筋肉がついてそうな黄色い足。獲物を狙う鋭い目。


 こここここれは、春から夏にやってくる肉食の魔鳥ではないですか。


 母の言葉が蘇ります。『渡り鳥なら絶望的ね』と。



「オルビス君は王都周辺にはいません。私には追跡不可能です」


 私は早々に白旗を振ります。

 鳥ですからね。人が通る道を通ってくれるわけではありません。


「私、何故か騎獣に嫌われているのです。だから、騎獣には乗れないのです」


 馬車には乗れるのですが、移動のために騎獣として調教した魔獣に近づくと、ものすごく暴れられるのです。

 母もそうらしいのですが、『は? そんなもの黙らせればいいのよ』と言っていました。


 母が乗る騎獣の背後からは絶望的なオーラを感じましたので、私は馬車移動と転移移動でいいと割り切ってきたのです。


 ですから、私に渡り鳥の追跡はできないのでした。


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