第56話 え?家族でご飯を食べないのですか?
「午前中に一度は顔を合わせている。昼からは第二王子は勉強のため、部屋にこもりっきり。夜は月に四回ほど食事を共にとる」
「そうですか。他人という距離感ではありませんね」
皇族の親子の認識と私の認識が凄くかけ離れていた。
「え? 朝と夜は共に食事をとらないと、お母様に怒られていたのですが、普通は違うのですか?」
昼間は働いているので、家にいないことがあるから仕方がないけど、朝ごはんと夜ご飯は家族なのだから一緒に食べるようにと、母に言われていたのです。
時々連絡もなく夜遅くに戻った父は夜ご飯の時間に間に合わなかったことで、母からグチグチと文句を言われていました。
『食器が片付かないじゃない』と。なんだか理由が違うような気がしますが、使用人がいるにも関わらず、母は父に食器を洗わせていました。
多分、連絡もしてこずに遅くなった罰なのでしょうね。
そして、三人の視線が私に突き刺さります。
そうですか。普通は違うのですか。
「るーたんは父と食事をとったのは片手で数えるぐらい。だから週に一回は多い」
「そうですね。母と共に食事を毎日とることもなかったですし、ご機嫌窺いに毎日訪ねるなど、ありませんでしたね」
「父上も母上も忙しいからな。私に合わせられる時間は殆どないに等しい」
そうですか。やはり、皇族や王族は違うのですね。
「アリアお嬢様は、毎日のお食事の時間にアドラディオーネ公爵様と楽しそうにお話をされているので、普通なのかと思っていたのですが、違うのですね?」
するとランドルフ王子は何かを考える素振りを見せました。
何ですか? この間は?
「イーリア。アリアの日常生活を報告するのだ!」
「今は第二側妃様の報告ですよね。馬鹿王子」
「わかった。後で報告するのだ!」
はぁ、後でですね。
そして私は見てきたことを報告したのでした。
「か! 隠し部屋! るーたん行ってみたい!」
「これは。これは。予想外の流れですね」
「うむ。本物のカトリーヌ妃は地下で軟禁されていたのか。アルフレッドの出生の隠蔽はカトリーヌ妃の画策だと思っていたが、これだと違ってくる」
この反応だとやはり、ラヴァル伯爵令嬢のことをカトリーヌ妃だと思わされていたということで間違いはなさそうです。
「問題は、カトリーヌ妃の年齢は30歳と公表されていますが、鑑定では25歳。そして、元々リーネリア離宮に住んでいた者の手記です。今よりお若い時期に書かれたものですが、おそらくこの方が全てを画策されたのでしょう」
私は複製した手記を亜空間収納から取り出して、ランドルフ王子の前に差し出します。
「マルメイヤー公爵か」
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