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第40話 仲の良さに嫉妬してしまいます

「おお! これは面白い!」


 ランドルフ王子は床に這いつくばりながら喜んでいます。流石、馬鹿王子です。


 そしてサフィーロ伯爵といえば、平然と私を抱えたままいます。背後の方ではうめき声が聞こえているといいますのに。


「ハイバザール侯爵とか言う者がやっていた対応策は有効だったということですか」


 どうやらレイモンドが行っていた耳を手で塞ぐということを瞬時にやってのけたようです。


「そのような有効手段を教えるほど、仲がいいということですか」

「別に仲はよくありませんでしたよ。会う度に、違う令嬢を隣に連れていましたから」

「それはイーリアに嫉妬させようとしていたのでは?」

「は? それはないでしょう?」


 隣に連れて来ている令嬢のタイプは大抵同じでしたから。そう、魅惑的な身体つきの令嬢たちでした。

 嫉妬を覚えるより殺意の方が湧いて出てきたものです。


 しかしそんなレイモンドでしたが、私の身長のことは口には出しませんでした。

 それは婚約者として顔合わせをしたときに、父親であるハイバザール侯爵が母に向かって身長のことを言い、母がブチギレた姿を目の前で見ていたからでしょう。


 そう言えば、サフィーロ伯爵も私の身長のことを口には出しませんわね。

 いいえ、全て『可愛い』という言葉に収まっているのかもしれません。


「これは伯父上も聖女マリー殿に屈服するはずだ。力でどうこうなるものではなく、魔力の放出でどうにかなるわけでもない……因みにこれはどうすれば解除されるのだ?」


 一通り試してみて、どうにもならないと感じたランドルフ王子から救助要請が出されました。


「それは『申し訳ございませんでした』と言えばいいのです」


 いわゆる、謝罪をしろということだそうです。


「すまなかった……どうにもならないぞ」

「それは上から目線での謝罪だからです。へりくだって言ってください」

「おお! それは面白い! 申し訳ございませんでした!……あっ……本当に解除された」


 ランドルフ王子は王族というプライドよりも興味の方が勝ってしまうので、行う意味がないのですよ。


「それで私の方の返答がまだですが?」

「その話をまだ続けますの?」

「当たり前ではありませんか。私はイーリアからあのように近づかれて、愛の告白をされてはいないのですから」


 ……私はレイモンドに愛の告白など一度もしたことはありませんわよ。


「折れてもいない腕を私に折られたと言っていたレイモンドを脅しただけですわ」

「ハイバザール侯爵とか言う者は、呼び捨てで名で呼ぶのですね。その仲の良さに嫉妬をしてしまいます」


 そこが気になるところなのですか!

 それからレイモンドとは年に数回、領地での行事で顔を合わせる程度でしたわ。このように抱えられるなどもってのほか!


「そうですね。私達に足りないのはお互いを知る時間ですね。ですから、今日から一緒に暮らしましょう」

「私はアリアお嬢様の侍女ですので、やることを終わらせればお嬢様の元に帰ります」


 そうです。私はさっさと手記というものを持ち出してくればいいこと。そうすれば、お嬢様の元に戻れるのです。


「あ! 明日からアリアは王子妃教育の勉強のために王城にくることになったから」

「それ、私は聞いていませんわよ! ランドルフ王子!」



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