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第39話 する意味がない

「なぁ! 私にもさっきのやつをしてみてくれ!」


 第一王子であるランドルフ王子の顔を立てて、その場を収めることになりました。そして私は王城の中にあるランドルフ王子の私室に連行されてきたのです。


 そう連行です。


「ランドルフ王子にはする意味がありません」


 私はランドルフ王子の私室の長椅子に捕獲されて座っています。長椅子に座っているのではなくサフィーロ伯爵の膝の上に抱えられて座っています。


 その向かい側でランドルフ王子は目をキラキラとさせて、強制的に膝を床につける言葉を言うように私に言っているのです。


「イーリアはあの者に未練があるのですか?」


 こっちはこっちで面倒なことを言い出しています。


「未練などこれっぽちもありません」

「でしたら、なぜあのように親しげに話していたのですか?」


 だから、どこをどう見れば親しげに話しているように見えたのですか? 私はレイモンドを脅していただけですわよ。


「どこが親しげに見えたのです?」

「あのように近づいて、腕までとって話していたではありませんか」

「……いつから見ていたのか聞いても宜しいでしょうか?」


 そもそも、いつからあの場にいたのですか? 私はそんなに長々とレイモンドとは話はしておりませんわよ。


 私の問いには、ランドルフ王子が答えてくれました。


「それはだな。母上に思っていた以上に早く動けそうだと報告をするために、本城に足を運んでいたのだ。そこに、ルシアから面白いことが起こりそうだと連絡が入ったのだ」


 ルシア様。なんという報告をしているのですか?

 そのルシア様と言えば『そろそろ侍女長に怒られに行かないと』と言って、第二側妃様の離宮に向かわれて行ってしまったのです。


 私も共に行こうとしましたのに、サフィーロ伯爵に捕まって連行される始末。早く手記が欲しいのではないのですか!


「ということで、私にあの術をかけるのだ!」

「何が、ということなのかわかりませんが、私の声が聞こえる範囲に影響がでますので、そこの端に控えている護衛の方たちにも影響がでますよ?」


 王子という立場ですので、それなりに多くの者達と行動を共にしています。そうすると、ランドルフ王子に付き従っている者たちにも影響がでますので、後で文句を言われても困るのです。

 だから私は使いませんよ。


「わかった! お前達、部屋の外に出ていろ」

「違います! そこはランドルフ王子が引き下がるというのが普通ですわ!」

「なぜだ! 気になるじゃないか!」


 ここは側近のサフィーロ伯爵から言ってもらうべきでしょう!


「サフィーロ伯爵も……」

「リカルドだと何度言えばいいのですか? それで、親しげに何を話していたのですか?」

「さっきの術をつかうのだ!」


 ああ! もう!


「『平伏しなさい』」


 人を黙らせるにはいいわよと母に言われた言葉を私は使ったのでした。



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