表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/136

第33話 母は皇帝に何をしたのでしょう?

「注意事項に書いてありましたよ。契約を反故した場合はその場で反故された相手が決めていいと」


 なんですって!

 私は空間に手を入れて、昨日複製した契約書を取り出します。

 因みに契約書を取り出したのは、空間自体に収納機能を持たす、亜空間収納という魔法です。


 母曰く『武器の所持が認められていないところでも、持ち込み放題で便利よ』と言って教えられた魔法です。


 持ち込み放題というほど、どこに持ち込んだのかは聞けませんでした。側にいた父が青い顔をしてプルプル震えていたので、多分その持ち込んだ武器によって恐ろしいことが起こったのだろうと子供心に思ったものです。


 そして、取り出した契約書を再確認します。が、注意書きなどどこに書かれているのですか!


「ないですわよ!」

「ここにです」


 差し示された箇所をよく見ると、契約書の周りの模様かと思っていたところに、小さな文字がみっとりと!


「詐欺ですわ! こんな文字、小さすぎて読めないですわよ!」


 するとサフィーロ伯爵はその契約書の模様に見える部分を指でなぞりました。すると空間に拡大した文字が浮かび上がったではないですか!


「詐欺ではないですよ。国家間の取り決めの場合、主要部分以外は欄外に書くことになっています」

「そんな取り決めなど知りません!」


 私は小さな文字を指でなぞって拡大された文章を読みます。


「絶対にこのことを言わなかったのは、ワザとでしたよね!」


 文句を言いながら確認していきますと、謎の文言が出てきました。


『何があろうとも、皇帝ルーベンヴェルクに危害を加えてはならない』


 え? 何故にこのような文言が出てくるのですか?

 私が帝国にいる皇帝に何かをするなんて、できるはずないですわよね。


「なんです? これは?」

「そのままの意味ですよ? 父が言うには、聖女に辛酸を嘗めさせられたと言っておりました」


 それ言葉の使い方を間違っていませんか? 母が皇帝に何かをすれば、今頃二国間で戦争になっていてもおかしくはありません。それから……


「なぜ、私との契約にこのようなことを書かれるのですか? 私が皇帝陛下に何かをするとお思いで?」

「私は父の考えはわかりませんが、聖女の娘ということで、この契約書を用いたことと同じ理由なのではないのでしょうか?」


 ……それは国家間で用いる契約書を使わなければならないほどのことを、母は皇帝にしたと言っています? ですが!


「私と母を混同しないでいただきたいものです。私は普通の伯爵令嬢でしかありませんから……あの? ランドルフ殿下は何をなさっておられるのです?」


 私がサフィーロ伯爵に文句を言っていると、神妙な面持ちでランドルフ王子がこちらに来たのです。そして、私の周りに手を突き出してはひっこめ、突き出してはひっこめを繰り返していました。


「どこに出したら手が消えるのだ?」


 ……どこに手を出しても消えませんよ。馬鹿王子。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ