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第31話 第二王子は誰なのか

「取り敢えず、仕事の話をしてください」


 可愛いもの好きの話は横に置いて、私がやるべきことを話してもらいましょう。


「そうですね。イーリアにやって欲しいことは、第二側妃が持っているであろう、アルフレッド王子の乳母の手記を複製して持ってきて欲しいのです」


 なにか凄く曖昧なことを言われましたよ。第二側妃が持っているか持っていないのかも、わからないということですか?


 そもそも何故、そんな物が第二側妃の手元にあるとおっしゃっているのでしょう。普通であれば乳母が持っているべきものではないですか。


「それは乳母が持っているか確認した方が早いのではないのですか?」


 すると結界を張ることに集中していたランドルフ殿下が詠唱をピタリと止めてこちらに視線を向けてきました。


「アルフレッドの乳母のエリアーナは自殺したとなっている」


 なっている? それは本当は違うのだと言っているのでしょうか?

 そして、乳母は亡くなっていた。それならば誰かが保管している可能性がありますが、普通は遺品となりますと家族に返されるものではないのでしょうか?


「事情は私にはわかりませんが、ご家族が持っているとかないのですか? そもそも手記は必要なものなのですか?」


 凄くきな臭い感じを受けたので、私は必要なのかどうかと尋ねる。


「うむ。母上曰く、アレは王の子ではないと言っておられる。だが、アルフレッドの出生に関わる者は皆、事故や病気、自殺なので死んでしまっているが故に、証言できるものがいないのだ」


 ……とんでもない話を聞いてしまいました。私はこのまま聞かなかったフリをして、お嬢様の元に帰っていいでしょうか?


「それは……第二側妃に愛人がいらっしゃったと?」


 貴族の夫人でも愛人を囲っていらっしゃるかたはおられます。しかし、それは貴族として子を成した後だったりしますので、流石にお一人目を生む前から愛人を囲うなど普通ではありえません。

 それも国王陛下のお子を生む立場であらせられる第二側妃様がです。


「愛人ではないだろうが……噂でしかないことを口にするのも問題だろう。それに母上がそう言っているのも聖女マリー殿が『第二王子はミカエルなのに変なの』と、おっしゃったからに過ぎない」


 あ……なんとなくわかってしまいました。その母の発言は、私と同じく鑑定スキルで第三王子のミカエル様を見たあとに、アルフレッド第二王子の話を聞いたのでしょう。


 母の鑑定で第三王子のミカエル殿下に第二王子の称号がついているのであれば、第二王子であるアルフレッド殿下は王の子ではないとなります。


 これは……私はとんでもないことに、引き込まれてしまっているのではないのですか?

 いいえ、アリアお嬢様のことを思えば、これは解決しておかねばならないことです。


 が!


「ランドルフ殿下。アリアお嬢様との婚約を解消するという選択肢はありませんか?」


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