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第25話 この王子は大丈夫なのでしょうか

「よく来てくれた」


 第一王子が住まう離宮に連れてこられました。

 綺麗に片付いた執務室に通された私を出迎えたのは、執務机の上で木のブロックを高く積み重ねている第一王子です。


 この馬鹿王子はいったい何をしているのでしょう。


 小さな木のブロックをどれほど高く積み重ねようとしているようです。今は椅子の上に立って積み重ねていました。これは遊んでいるのですか?


 執務机の側に行った私は木のブロックの下を突いてから頭を下げます。


「本日からお世話になりますイーリア・アルベントです。よろしくお願いします」


 私が挨拶する言葉と王子の悲痛な声が被りました。


「うわぁぁぁぁ! 私の努力の結晶が!」


 小さな木のブロックが雨のように机の上を打ち付けます。


「それでは、詳しい話をしていただけますでしょうか?」


 人を呼びつけておいて、それはないだろう感を第一王子に向けます。私はここに遊びにきたわけではないのですよ。


「うぅぅぅぅ……リカルド。説明をしておいてくれ」

「かしこまりました。ランドルフ殿下」


 木のブロックが散らばった執務机の上で項垂れる第一王子は、サフィーロ伯爵に説明を丸投げするようです。

 私が悪いような雰囲気ですが、私は謝りませんわよ。上に立つ者はそれなりの態度を示さなければならないのです。


 個人的な趣味は、別の日にやるべきですよ。


 私は第一王子の執務室に続く扉から別の部屋に案内されました。どうも応接室のような感じではありますが、その部屋には窓がなく、密会をする用途で使われているのだろうと推察できます。


「こちらに掛けてください」


 勧められたのは柔らかい革張りの一人がけソファーです。腰を下ろしますと、沈み込むような柔らかさです。浅く座っても、やはり足が床につくかつかないかぐらいです。


 家を出てから家具の大きさの違いに戸惑うことが多くなりました。アルベント伯爵家は本当に母中心だったと思わされます。


「まずは第二側妃の元に潜入している者に会ってもらいましょう。ルシア。入ってきなさい」


 サフィーロ伯爵は私が入ってきたところとは別の扉を開けて、ルシアという者に入ってくるように促しました。

 私が入ってきた扉より小さな扉ですので、使用人が出入りする扉だろうと推測します。


 そしてそこから現れた者は人形のように可愛らしい、使用人の服を着た少女でした。

 ですが、私はその者を視界に収めた瞬間、唖然としてしまいます。いったいどういうことなのですか!



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