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134/136

第134話 それ以上は駄目!

「これは、これは。アルベント伯爵令嬢。お変わりないようで、何よりです」


 くっ。サフィーロ伯爵であるリカルドよりも先に私に声をかけてきました。

 はい。ランドルフ王子とアリアお嬢様の婚姻が1年後の予定です。私とリカルドの婚姻はその後の予定となっているので、私は伯爵令嬢のままなのです。


 それをニヤニヤとした笑みを浮かべて言っているレイモンド。相変わらずイラッとしますわ。


「ハイバザール侯爵もお変わりないようですね。未だにイーリアに固執しておられるようで」

「は?」


 リカルド。レイモンドはただ単に嫌味を言いに来ただけです。適当に受け流すのが妥当ですよ。


「よくも、こんな暴力女と付き合っていられるなど、感心しますよ。サフィーロ伯爵」


 まぁ、何度かレイモンドを殴っているので、否定はしません。


「しかし、あの王太子の側近など大変でしょう?」


 あの王太子。そう言われるのもわからないでもありません。

 第二王子は表向きとして、ランドルフ王太子を支える立場に立つという理由のため、王位継承権を破棄したとなっています。


 そう、第二王子自らが言ったと。それは貴族たちの間では、よくできたアルフレッド王子という噂に反して、ランドルフ王太子はというと……。


 大した功績もなく、王妃様の第一子というだけで、王太子という地位についたと噂されています。


 それも、思いつきで魔物狩りに行ったり、気まぐれで訪れたとある町の領主を罷免したり、気まぐれが多い王太子だと噂されています。


 一応、全て理由があるのですが、公にできないため、ランドルフ王太子の奇行と人々から認識されているのです。


「ハイバザール侯爵は、殿下にお困りになることなどないでしょうから、お気にされることはないでしょう」


 リカルド。それはランドルフ王子に声をかけられることなど無いと言っているようなもの。

 ほら? レイモンドの額に青筋が浮いていますわ。


「ただの伯爵のクセに無礼にもほどがある。貴様など……」



「その口を閉じなさい!」


 バキッというものすごい音と『ヘギョッ』という効果音と共に人が飛んでいきます。それもそんなに人は吹っ飛ぶものなのかというぐらいに回転し、逆エビゾリで床に着地するレイモンド。


 これ以上言うと、帝国に喧嘩を売るようなことになってしまいますので、駄目ですわ。

 レイモンドは帝国の皇子の名を捨てたわけではないのですから。


「いいパンチだ」


 背後からランドルフ王子の声が聞こえてきました。

 はっ!


 私は何ということを! 王太子であるランドルフ王子の誕生日パーティーで、人を殴ってしまうという問題を起こしてしまいました!


「で……殿下……こ……これはちょっとした手違いで……あ……当たりどころが悪くて……」


 手が滑ったことにできないかと、たどたどしく言い訳をしますが、そこに顔面から床にダイブして、逆エビゾリに固定されたレイモンドがピクピクしているのです。

 酷い状態の証拠がある以上言い逃れはできませんわ。


 これ絶対に明日には貴族たちの間で噂になっています。

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