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133/136

第133話 そして時は流れ現在

 

 そして月日は流れ、次代の王はランドルフ王太子と決められ、そのランドルフ王太子殿下を支えていく貴族たちが集められたパーティーが開かれています。


 今はマルメイヤー公爵家の名が貴族たちの口の端に上ることもなくなり、忘れ去られていることでしょう。


 元第二王子のアルフレッド様は、新たな爵位を拝命し、コルベリア公爵を名乗っておいでです。

 王族の血族には変わりありませんが、王位継承権は剥奪されています。


 本当であれば、一族すべてが処刑される事件でしたが、国王陛下の命でアルフレッド様には罪がないといわれ、公爵の地位を与えたのでした。

 マルメイヤー公爵が王家に仇なすきっかけが、ご自分にあったことに思うことがあったのでしょう。


 しかし、そもそもあの邪神を引きずり出した時点でアウトだと私は思うのです。


「コルベリア公爵の領地の改革は、とても興味深いと殿下もおっしゃられていましたわ」


 私は壇上にいるランドルフ王子とアリアお嬢様の代わりに、婚約者のリカルドと共に貴族たちに挨拶をして回っているところです。

 側仕えとして、次代の王の周辺を固めておくことは大事な仕事の一つです。


「これはこれは、聖女マリー様の御息女から言われるとは、私も領地のためにやってきた甲斐というものがありましたね」


 カトリーヌ様に似たアルフレッド様は、そう言ってにこやかに笑顔を浮かべています。

 ええ、私はいつまで立っても、聖女の娘という名がつきまとっています。


 それは仕方がないと思いつつ、なにか釈然としないものがありました。


 公爵がおっしゃりたいのは、国一番の改革者である聖女マリーの娘から言われても嫌味に捉えられるということです。


「本当にフィエラ地方の農地改革など手本にしたいと申しておりましたわ」


 こういう腹のさぐりあいも上手くなりました。母がやってきた農地改革を綺麗に踏襲した手本が欲しいと言って差し上げます。

 これも私の隣にいる方の影響でしょうか?

 すらすらとそのような言葉が出てきました。


「これからも、ランドルフ王太子殿下のために、コルベリア公爵のご尽力を賜りたいと思っております」


 笑顔でいうリカルド。相変わらず黒縁メガネをかけていますが、私には銀髪紫紺の目の人物に見えます。


 このリカルドの言葉は、こちらは不穏な動きをしないか監視をしているぞという意味です。

 あれからランドルフ王子の護衛は増員され、私の目にはどうみてもレイム族だろうという人たちがいるのです。


 そしてオルビス君もランドルフ王太子の私兵に入り、廃妃となったカトリーヌ様を妻に迎えるべく頑張っているところなのです。


 コルベリア公爵との挨拶を終え、次に声をかける方を見定めていると、背後から声をかけられました。


「イーたん。アレが来る」



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