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第129話 人が足りませんわね

「エリアーナ・ラヴァル。カトリーヌ・マルメイヤーの名を騙って、王家に取り入った罪状にて、我々と来ていただきましょう」


 既に離宮内はランドルフ王子の兵によって制圧されていました。

 私たちの役目はただ、ランドルフ王子の名代として、罪状を言い渡す役目でした。


「そんな! 私は子供のために公爵の指示に従って……」

「黙りなさい。発言の許可は出していません」


 その子供のオルビス君は、大好きなカトリーヌの名を偽った者ということで、本当の母親を親の(かたき)のように睨みつけています。


 一応、オルビス君には事前に説明していました。母親の罪状に異議があるというのは、被害者であるオルビス君であれば、減刑にできると。


「このような女が公爵令嬢である私の名を騙っていたなど、万死に値しますわ」


 父親の権力が失墜していることに気がついているのかいないのか、本物のカトリーヌ様がいい味を出していますので、この場での雰囲気は乳母のエリアーナが悪いという空気が流れてしまっています。


 しかし、なんだかザワザワとしたものを感じます。


 広い部屋に集められている人数が、少ない気がするのです。

 確かに大量解雇があったとは聞いていますので、あからさまにおかしいとは言い難いです。


「ルシア様……ルシア先輩」


 私は小声でルシア様に声をかけます。今は、姿替えの魔道具で他の人には別人に見えているルシア様にです。


「なにかな? イーくん」


 あの? 誰に扮しているのか私にはわからないのですが?


「取り仕切っていたという、アルマ侍女長とはどなたですか?」


 どうもこの中に、取り仕切っていたという感じの人がいるように見えないのです。それにエリアーナという方が、あちらこちらに視線を向けて誰かを探している風なのです。


 これはもしかして逃げられましたか?


「ここにはいないみたい」

「地下の出入りはどうなっています?」

「虫を配置」

「人は?」

「近衛騎士が使えないから置いていない」

「少し離れます」


 それだけを言って私は気配を消しました。

 おそらく公爵と頻繁に連絡を取っていたのは、アルマという侍女長でしょう。


 屋敷の中は、兵の方々が見回ってこの場に人を集めてきたと言っていましたから、この場にはもういないということでしょう。


 廊下に出た私は、人探しの魔法を使います。すると黒い蝶が顕れ、目的の人物の行く先を示しています。


 良かったですわ鳥ではなくて。


 追いかけていくと、見覚えのある部屋に連れて来られました。そう地下室に繋がるサロンにです。


 そして案の定、地下に繋がる隠し扉の場所に止まる黒い蝶。

 地下から逃げようとして逃げれなくなったという感じでしょうか?



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