第126話 レイム族とは
「そこで、めでたくないのが、ドラギニアでした。天眼の姫を人族に奪われ、国を奪われ、辺境の地に追いやられてしまったのです」
確かにそうですわね。
あれ? そもそも国の崩壊を姫は予言出来なかったのでしょうか?
「あの?」
「なんですか?」
「その話を最初に戻すのですが、姫が人の侵略を預言すればよかったのでは?」
そうすれば、全てが何も起こらずにドラギニアはドラギニアとして存続できたはずです。
「姫は自分の未来が見えません。デルピューネスは姫を手に入れるための行動で、人々も全てを見通す目をもつ姫を自分たちのものにしたかったのです。全ての意志が姫に向っていました」
「あ、そういうことですか。ですが、デルピューネスはドラギニアを恨んでいたようですが?」
今の話ですと、デルピューネスは人の方を恨んでいてもおかしくありません。なぜなら、情報を与えたデルピューネスを人は裏切って自分たちで姫を囲ってしまったのですから。
「それはこの次の話ですね」
「まだあるのですね」
「はい。それでドラギニアは、人の血を一族に入れることにしたのです。それが我々レイム族です。だから我々は、ドラギニアの力と魔法を扱えるようになりました」
あ! ここでドラギニアの種族が消えて、レイム族が生まれることになったのですね。
「そしてレイム族はドラギニアの再興を掲げ、人々の世界に入り込むことにしたのです。傭兵としてです」
ランドルフ王子が正統性を口にしたのが、ここに繋がるのですか。
元々はドラギニアの国であり、ドラギニアの血を引くランドルフ王子が王になるべきだと。
「あれ? どこにランドルフ王子にドラギニアの血が混じることになったのですか? 全然レイム族っぽくありません」
確かにスペックは高いです。人としては確かに全てが逸脱したステータスの値でした。
ん? 今、思い返したら……
「名前にドラギニアが入っていました! ドラギニアの名前ってなにですか!」
「おや? 殿下はイーリアに正式名を名乗ったことはなかったと思いますが?」
「はっ!」
ヤバいです。私が勝手に他人のステータスを覗き見していたことがバレてしまいます。
何か、言い訳を……言い訳……ちらりとリカルド様に視線を向けますと、ものすごく綺麗な笑みを浮かべています。
なんだか怖いですわ。
嘘を言ってもバレそうです。
「ス……ステータスを……初めてお会いしてときに……見てしまっていました」
「ああ、完璧に刺客に扮していたときですね」
刺客ではなくて、気配を隠していたのです。
「冗談ですよ。それぐらいイーリアは惚れ惚れするぐらいに完璧でしたよ」
何故、私は頭を撫でられてるのでしょうか?




