第125話 ドラギニアの滅亡
ドラギニアの姫は国の中枢で大切に扱われていたそうです。
しかし、デルピューネスという竜人が世界のすべてを手に入れたいが為に、あることを画策したしそうです。
それは人をそそのかして、全てを見通せる目を持つ姫を、手に入れるようにと言ったのです。
しかし手に入れたいのはデルピューネスのはず。ですが、この人族を巻き込む意味はあったのです。
一人で姫を手に入れようと画策しても、多くのドラギニアの護衛が姫を守っているのです。
この難関を突破するのは無謀というもの。
「人族は魔法が使えるのです」
一瞬、リカルド様が何を言っているのかわかりませんでした。それって当たり前のことで、リカルド様もルシア様も使っています。
「我々が傭兵を生業としているように、強靭な肉体をドラギニア族は持っていました」
そうですよね。ルシア様なんて身の丈より大きな武器を嬉々として振るっていましたから。
「しかし魔法を使える特性は、なかったのです」
「え?」
魔法が使えなかった?
「それと集団を好む人族に対して、単独を好むドラギニア族です。例え、強靭な肉体を持とうとも、集団での遠距離攻撃をされれば太刀打ちできなかったのです」
これは集団リンチってことですか?
人々は天眼のというものの魅力に取り憑かれてしまったのでしょう。
「そしてドラギニア族は辺境に追いやられ、国は崩壊してしまったのです」
「あれ? デルピューネスは?」
途中からデルピューネスが出てこなくなりましたよ。
「あれは、我々が人に追いやられている間に、蛇神を食らい力を得ていたのです」
ん? 邪神を食べて邪神になった?
「ああ、地の底に眠るヘビの神ですね。書物によっては、封じられていた神とも書かれているものもありましたね」
ヘビの蛇神の方ですか。だから、頭の代わりにヘビがいっぱい生えていたのかもしれません。
「あれ? もしかしてヘビの方が蛇神の本体? だから百回殺すとか言っていました?」
「それはどうでしょう? デルピューネスは百と一つの命を持つと言われていますが、神に命の数があるのか疑問ではありますね」
あれ? 一つ増えています。
命の数ですか。
結局のところ、元になった蛇神も封じられていたのでしたら、邪神も封じるしかないのでしょうね。
「しかし天眼の目を持つ姫が、人々に厄災をもたらす邪神が現れると予言し、それに対抗するため、天から天の使徒を召喚し、厄災が暴れる前に封じられたのでした。めでたしめでたし」
母の前に異世界人が、召喚されているではないですか!




