第104話 嘘?本当?
「リカルド様。聖騎士としての基礎ができれば使える剣術なので、危険だなんてありませんよ」
「本当に?」
「ええ」
近い。近いですわ。リカルド様から見下されています。
それに私が言っていることに、間違いはありません。基礎ができた聖騎士が教えられる剣技なのも間違いありません。
ただ、その基礎ができていないと放てない剣技でもあります。
ということは、基礎で教えられた全てを打ち放つ技とも言えます。
「嘘ですね。いくらなんでも、人があのような動きをすれば、耐えきれずに手足がもげてもおかしくありません」
それも本当です。
聖騎士として、最初に教えられる技は一撃必殺の剣技『限りの旅への誘い』。相手を確実に死の国へ導く剣技です。
しかし私の剣技はその劣化版でしかありません。
「ええ、ですから聖魔法の回復を常時かけないと打てない技ですね」
「それが危険でないというのですか?」
「危険ですか? どの辺りがでしょう?基礎ができているかの確認する技でもあると言われましたので、基本的に聖騎士と名乗る人は扱えますよ?」
「これは認識の違いですか。後でじっくりと話あいましょうね」
……え? 何を話し合う必要が出てくるのですか?
「るーたん。回復魔法は使えない。残念」
そして、がっかりと落ち込むルシア様。
ですが、あの巨大武器を振り回すルシア様でしたら、普通に使えると思いますわ。
あ……!
「大変! 私、商品を壊してしまいました!」
お店側が用意してくれた商品を木っ端微塵にしてしまいました。これは弁償しなければ……
「ああ、良いですよ。先程買取という手続きをしておきました。ルシアの武器の扱いはなっていませんので、壊すと思っていましたからね」
「流石、お兄様。るーたんもイーたんと同じ、よく壊すから小さいのしか持たせてもらえない」
はぁ……そうなのですか。
それよりもいつになったら、私はリカルド様から解放されるのですか?
「そうですね。ここではイーリアの満足できる武器がなかったようです。婚約の証として守り刀を贈ることにしましょう」
婚約の証と言えば、普通は指輪ではないのでしょうか?
「ヒヒイロカネの剣が気にいったようですので、作るように命じておきましょう」
「え! ヒヒイロカネの!」
「あ……イーたん。凄く反応した。うんうん。るーたんも指輪なんかより、ぬいぐるみをもらうほうがいい」
ルシア様の収集癖はちょっと行き過ぎていると思いますわ。




