第101話 メイドが二刀流……どこに突っ込めばいいのでしょう?
「ルシア様……ルシア先輩」
あの……ルシア様と呼ぶたびに機嫌が急降下するのを止めていただきたいのですが……。
「私が武器を使わない理由は、武器を破壊してしまうからなのです。だから、本気は出せません」
「え? 筋肉ムキムキじゃないのに?」
武器の破壊に筋肉は関係ありません。それに私は腕の力だけではこれほど大きな武器は持てません。
「武器に私の魔力をまとわせて使用しているのです。ですから、私の魔力に耐えきれずに壊れていくのです」
この斧も後、二回か三回か振るえばゴミの残骸のように形を保つこともなく崩れていくことでしょう。
「それなら、これはどうですか?」
私の背後からリカルド様が声をかけてきました。なんでしょう?
振り返りますと、リカルド様が腰に差していた剣を私に差し出しています。
それはリカルド様の剣ですわよね。
「魔剣の一種です。我々の力にも耐えて、魔力に対する強化もされています」
「あの……それはリカルド様の剣ですよね?」
「ルシアが楽しそうにしているので、付き合ってもらえますか?」
あ……確かに、ランドルフ王子の離宮では同じ年頃の女性はおらず、ご年配の侍女しかいません。
孫のようにかわいがってもらっているようですが、友達とは言い難いですわね。
「わかりました。お借りしますが、壊しても弁償はできません」
「いいですよ。壊れない武器などありませんから」
私は大斧を地面に突き立てて、リカルド様から剣を受け取ります。
本物の剣を持つのは久しぶりです。
私が剣が得意ではない理由。それは父が剣術を教えてくれるのに、私が持つ剣がことごとく壊れていくからだったのです。
剣を鞘から抜きます。青みがかった剣身が露わになりました。
剣の長さは一般的に出回っているものと変わりありませんが、持ってみても抵抗感が全くありません。
私の魔力が浸透するように剣に馴染んでいきます。
「オリハルコン?」
「オリハルコンは強度が弱いですからね。ヒヒイロカネを使用しています」
「うぇ?」
それは金剛石と同等の硬さを持つという伝説の金属ではないですか!これがヒヒイロカネの剣。
凄いですわ!
「イーたん。構える。その剣ならるーたんは二刀流になる」
ルシア様が近くに来たかと思うと、私が地面に突き刺した大斧を持って下がり、大剣と大斧を構えました。
その姿を見て私は思ってしまいました。どこのメイドが大剣と大斧を持って二刀流というのでしょうと。
サイズがおかしいですわ。
102話。ゴメンナサイ。横から仕事と諸々があって、朝の投稿は見送ります。
6日。帰ってから書きます。
申し訳ないです。m(_ _)m




