星を探しに
ある日、こうちゃんが公園で砂遊びをしていると、ブランコの下から小人がぴょこんと顔をだしました。
茶色の帽子をかぶった小人です。
小人は、こうちゃんのスコップをつかむと、またすぐにブランコの下に消えてしまいました。
「あっ、待って!ぼくのスコップ、返して!!」
こうちゃんは、急いで小人のあとを追いかけました。
なんと! ブランコの下は、すべり台になっています。
こうちゃんは、あっという間にすべりおちて、どすん!と、しりもちをつきました。
「いった〜い・・・」
そこには、かわいらしい家がありました。
家の前では、よく似た小人たちが、わいわいがやがや。
「やぁ、こんにちは」
紫の帽子の小人が、こうちゃんに話しかけてきました。
「こんにちは。何をさわいでるの?」
「迷子なんだよ、この大きな女の子」
よく見ると、家のむこうがわで女の子がひとり泣いていました。
女の子は、こうちゃんに言いました。
「あなたも迷子なの?」
こうちゃんは考えました。
(そうだ、ぼくも迷子になっちゃった。でも、この子どこかで見たことあるなぁ)
茶色の帽子の小人が言いました。
「ごめんね。ぼくがこれをとったから、ついてきちゃったんだね」
「あっ、ぼくのスコップ!」
「どうしても、これが要るんだよ。だから貸してね」
「そっかぁ・・・うん、いいよ」
「じゃぁ、行こうか」
紫の帽子の小人が言いました。
「どこに行くの?」
こうちゃんが聞くと、緑の帽子の小人が答えます。
「森へ行くんだよ。星を探しに・・・」
すると、女の子が言いました。
「わたしも星を探しているの。星のペンダントをおとしちゃって、公園で探してたら、いつのまにかここに来ていたの」
「それは、ぼくたちのいう星とは、ちょっとちがうね。ぼくたちが探しているのは、空の星だよ」
そして、緑の帽子の小人は話しはじめました。
「むかしは、青空の日と星空の日が、一日ずつ入れ替わりであったんだ。でも、いつのまにか星が消えちゃって、それからずぅっと星空の日は真っ暗なんだ。今日はちょうど星空の日なんだよ。それで、森の木がときどき歌うんだ。こんな風にね・・・」
小人たちは歌いはじめました。
♪ 星の扉を掘りおこせ!魔法のスコップで掘りおこせ!空の上にある魔法のスコップ、光る木の下を掘りおこせ ♪
歌いながら、小人たちは、ずんずん歩いていきます。森の奥深くへ・・・
こうちゃんのスコップを持った、茶色の帽子の小人が一番前。こうちゃんと女の子が後につづき、のこりの小人たちは更にその後。
「・・・ここだ」
茶色の帽子の小人が言いました。見ると、一本の木の根元が、ぽぅっと光っています。
「あっ、わたしのペンダント!」
女の子が言いました。光っていたのは、星のかたちのペンダントだったのです。
女の子がペンダントをひろうと、茶色の帽子の小人は、こうちゃんのスコップで木の根元を掘りはじめました。
みんなの見守る中、茶色の帽子の小人は、いっしょうけいめい掘りつづけます。
・・・しばらくすると、土の中から光る扉が出てきました。
紫の帽子の小人が、おそるおそる扉を開きます。
すると・・・・・・
扉の中から、星たちがいっせいに飛びだしてきたのです。
それまで真っ暗だった空は、あっという間に星でいっぱいになりました。
「すごいや!こんなにたくさんの星が隠れてたんだぁ・・・」
「ステキね・・・とっても、きれい」
いつしか、こうちゃんと女の子は手をつないで、空に浮かび上がっています。
すると突然、バンッ!バンバーン!!
と、なにかが弾けたような音がして、ふたりはぎゅっと目をつぶりました。
目をあけると、そこはこうちゃんが遊んでいた公園でした。手には、ちゃんとスコップがあります。
でも、女の子はいません。
・・・砂場のむこうで、おかあさんが呼んでいます。
「こうちゃ〜ん。もう、帰りましょう」
こうちゃんは、急いでおかあさんのところまで走っていきました。
「おかあさん!あのね、ぼく、小人さんと星を探しに行ったんだよ。ぼくのスコップは、魔法のスコップなんだ!」
「まぁ、そうなの?すごいわね。・・・・・・おかあさんもね、むかし小人に会った夢を見たのよ。
あまりよく覚えていないのだけど、大切にしていたペンダントを探しに行ったの」
おかあさんは、懐かしそうに呟きました。
そのとき、こうちゃんは気がついたのです。
いっしょに森を歩いた女の子が、おかあさんににていたことに。
空には、一番星が輝いていました。
おしまい
小さい子に読み聞かせる童話として、思うままに書いていた作品です。
昔、ホームページで発表していましたが、そちらは閉じてしまったので、ここに残そうと思います。