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初対面の記憶


ごはんを食べ、お酒を飲むと、いつも最後まで起きているノアが寝始めた。

私にもたれかかったまま。


「薬のせいかな。リリアーナも実験の時、やけに眠いって言っていたもんね」

「そうだと思う。本当にノアには申し訳ないことしちゃったよ」

すやすやと眠るノアの寝顔を見てため息をつく。


「こんなノアの穏やかな顔初めて見たかもな」

イーサンがにやにやと笑う。

「初対面から不遜な男だったからね」

私とユーリも顔を見合わせて笑う。


私たちが出会ったのは半年前の入学した頃。


まずノアは入学式の段階で全ての人の視線を集めていた。

どうやら入試の成績が一番だったようで、新入生代表としてノアは現れた。


壇上に上がった彼を見て、会場中がざわめいた。

あまりにもかっこよかったからである。


何頭身?と聞きたくなるようなスラリとした体に小さな顔。

その顔にはパーツが綺麗にはまっていて、みんな目が離せなかった。


その後さらにノアに対する学校の注目は高まることになる。


私たちの通う国立魔法大学は4年制なのだが、4回生にノアのお兄さんがいた。

そう、リアムさん。

彼もまたノアと同じ血が通っているだけあって、かっこよかったのである。


美形兄弟が同じ学校にいる。

もうそれだけで大騒ぎだ。


さらにこの大学は1回生からゼミに所属することが決められている。

そこでノアがリアムさんの所属するゼミを希望しているという噂が回り、希望者が殺到した。


今私たち4人が所属している魔法学ゼミだ。

本来かなりマニアックなゼミなので、そこまで人気はないのだが、今年は美形兄弟のせいで大人気だった。


「いい迷惑だったよね、私たちにしたら」

「だよな。不要なレポート提出させられたし」

ユーリとイーサンが笑う。


「おかげで本気のメンバーだけ残ったからよかったけど」

「それは言えてる」

もともと本気で魔法学ゼミを希望していたものだけが入れるように、急遽設けられたレポート課題で生き残ったのが私たちだ。


ユーリが当時を懐かしむ。

「でも初めてゼミで顔合わせた時は仲良くなれるか不安だったな。いきなりノアとリリアーナ喧嘩してたし」

「そうだったね…」

思い出して目を細める。



上級生を含めたゼミ生全員の集まり。

緊張しながら行くと、扉を開けてくれた男性がいた。


「新入生?入って」

ミルクティーの紅茶成分を少し濃くしたようなキャラメル色の髪の毛。

眼鏡の奥に見える綺麗な薄紫の瞳。


柔らかく微笑んだその人に一瞬で心奪われた。

思わずぽーっと見惚れる。

この人が噂の美形兄弟のお兄さん。


それまで噂には聞いていたが、ちゃんと見たのは初めてだった。

刺々しく、寄ってくる女子を一刀両断していたノアとはずいぶん雰囲気がちがう。


「じゃま」

後ろから低い声が聞こえて、慌てて飛びのく。

「ご、ごめんなさい」

振り返るとノアが立っていた。


ノアは同級生で、どうしても目立つので一方的によく見かけていた。

しかしまともに対面したのは今が初めてである。


扉の前を避けた私にノアが顔を近づける。

綺麗な顔が至近距離にきて驚いていると、ノアが吐き捨てた。

「兄貴に近寄んなよ、クソ女」




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