本当の気持ち
薄紫の瞳が柔らかく細まり、私を見つめる。
もう私は頬も耳の先もすべてが真っ赤だろう。
「あの、あのね」
「なに?」
ノアの声が優しくて、甘い。
「信じてもらえないかもしれないけど。ずっとリアムさんリアムさんって言ってたし」
「うん?」
私が何を伝えようとしているのかわからず、ノアが首を傾げる。
「私もね、たぶん前から。前から」
息を吸ったり吐いたりする私をノアが見つめる。
自分でも気づいていないうちから、きっとノアの優しさや居心地のよさに惹かれていた。
たしかにリアムさんが好きだった。
だけどゼミでリアムさんに話しかけて、それを邪魔しにくるノアとのやり取りがいつの間にか楽しみになっていた。
一番近くで私たちを見ていたリアムさんはとっくに私の心の変化に気づいていたのだろう。
私は本当に大馬鹿者だ。
最後に深く息を吸って、口を開く。
「ノアのことが好き!…だったの」
最後の方は勢いがなくなり、もごもごする。
そうっとノアの顔を伺う。
ノアはぴたりと全ての動きを止めて固まっていた。
しばらくして、ノアがやっと声を発する。
「はっ?嘘だろ」
ノアの顔が徐々に赤く染まっていく。
「惚れ薬の効果、お前こそ続いているんじゃないだろうな」
疑うような目つきで私を見る。
「うっ、信用ないのはわかるけど、解毒剤も飲んだし。それに惚れ薬飲む前からの話で…」
最後まで言う前にノアに抱きしめられる。
「あとで勘違いだったって言っても離してやんねぇから」
どちらの音かわからない心臓の鼓動が聞こえる。
「もし惚れ薬のせいでも、俺のこと好きにさせてみせる」
「私も。信じてもらえるように、これから先ずっとノアのこと好きなんだって伝えていくよ」
抱きしめてくれたノアの背中に手を伸ばす。
抱きしめ返すと、ノアが嬉しそうに笑った。
「あっ、でもでも惚れ薬のことは本当にごめんね。ご迷惑おかけしました。お詫びになんでもするから」
改めてもう一度謝罪する。
「別に、怒ってねぇけど。そういえば、なんでもするって言ってたな」
ノアがにやりと笑う。
「あっ、あの金銭的なことは限界が…」
恐る恐る付け足す。
「ばーか。そんなの頼まねぇよ」
ノアが私にぐっと顔を近付ける。
「そうだな。どうせならお前からキスしてもらうとか」
「えっ」
瞬時に顔が真っ赤になる。
部屋には当然私たちしかいないのに、周りを見渡す。
ノアの顔を見上げると、私の様子を見て笑っていた。
ノアの両肩に手を置き、顔を近付ける。
それに驚いたように目を見開く。
しかしその後、私が今まで見たなかで一番嬉しそうにノアが笑った。
そして、その笑顔に吸い寄せられように。
最後の距離を縮めた。




