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1.マンボウを倒したら

――ズシャアアアアアアア!!!


「ギョオオオオオオオオオ!!!」


ついにやった!魔界四天王の一角であるハネトブ・マンボウを倒した!首から下は人間の体にマンボウの頭を持つそいつは、勇者に討ち取られ、最後の言葉を残す。


「……我ももうこれまでか……しかし勇者よ忘れるな……私の子どもたちが必ずやお前を倒しに行くだろう……せいぜい恐怖するがいい……」


そういってマンボウは倒れた。この海を支配する魔王の妥当は悲願であった。これで大陸間の安全な航海が可能になるだろう。



勇者であるルミウス・ガイエスは四天王を倒した。この事実は国を超えて喝采の嵐となるだろう。


「それにしてもお前、けっこう弱かったぞ。感覚的にはキマイラとかエルダーグリズリーくらいの強さなのに、こいつが四天王って実は魔族郡の幹部って雑魚しかいないんじゃないのか?」


「ええ、弱かったわね。でも最後の言葉はどういう意味なんだろうね?」


勇者パーティーの仲間で魔術師をしているミエルが心配してくれる。彼女は紫の長い髪に大きな帽子をかぶっている。


「心配することはないですわ!あんな雑魚の子供なんて雑魚に決まってますわ」


さらに回復術師をしている聖女であり貴族の生まれのマリエが言う。シスターの修道服にスレンダーな体をしたブロンドヘアーの美女だ。


「とにかく四天王一人目の魔王は倒せたんだ!これが人族の悲願。魔族に奪われた領地を取り戻す布石となる。これを報告すればきっと王都では大盛りあがり間違いなしだ!」


意気揚々とした気持ちで勇者パーティーの三人はアンダルシア王国の王都アンダルシアへ帰還していくのであった……。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



冒険者ギルドにマンボウの魔王討伐を報告してからは、目が回るような忙しさだった。そして、勇者ルミウスは国王も参加するマンボウ打倒記念パーティーを終えて自宅の一軒家へ帰ってきた。


「……ふう。まだ四天王一人しか倒してないからまだまだこれからだな。とりあえず寝るか」


そう言ってベッドの中に入る。



――カンッ



――カンッ




しかし、なんだか物音がする。



――カンッ


――カンッ



「……あーっ!もうっ!!」


気になってしまい寝付けない。物音の正体をさぐろうとするが思いの外すぐに原因が分かった。窓から音がなっているようだ。



――カンッ


――カンッ



小さな音だ。窓の外側には小石が転がっていた。


「誰かが小石を窓に向かって投げている?」


しかし、窓を開けて外を確認してみるが、何もいない。


空には空魚(空を飛ぶ魚)が月明かりに照らされて空に浮かんでいる。不思議なことはない。


窓から外を見渡すが、誰も見当たらない。


「まあいい、寝るか……」


小石の音は窓の外を土魔法で覆うことで対処した。


ベッドに入りまどろみに身を委ねようとしたところ……


――コン、コン、コン


と今回は玄関のドアノッカーが鳴る。


「……チッ……こんな深夜に誰だよ……せっかく寝ようとしていたのに……はーい!はい!」


俺は勇者だ。だから緊急事態にも対処しないといけない。万が一なにか事件で呼び出されているのなら、俺が行くしかないと思いつつ玄関へ向かう。


「はーい……って、誰もいない……」


玄関から出て周囲を見てみるが誰もいない。空には相変わらず空魚が浮かんでいる。空魚は無害だから問題じゃない。


もう眠くて仕方がない。そう思ってベッドに入るがもう一度ドアノッカーがコンコンと鳴る。


外に出る。


誰もいない。


寝る。


――コン、コン、


起きて外に出る。


誰もいない。


――コン、コン、


外に出る。


誰もいない。 


ドアノッカーを破壊する。


寝る。


――ドン、ドン、ドン


天井を叩く音がする……


これが悪夢のはじまりだった。


お読みいただきありがとうございます。


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よろしければ最後までお付き合いください。

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