1話 羅素寺空
息子というのは、親を真似る生き物なのです。
空は世界を破滅に導くバケモノと対峙している。
空は大きく深呼吸した。
「これで終わりだ。」
「おわるのはお前だ!」
バケモノは人間の言葉が話せるらしい。
空はバケモノの背後を瞬時にとり、蹴り上げた。
バケモノは吹き飛んだが、すぐさま空にレーザービーム
をはなった。空はそれを避ける。
今度はバケモノが、空に向かってきた。
ものすごい早さのパンチとキックをしているが、
空は全てかわしている。すると空は隙をついて
バケモノの腹を思い切り殴った。
バケモノも、そのパンチは効いたらしい。
すかさず空がカカト落とし。
バケモノの顔は地面に埋もれた。
いいぞ!勝てる!いけ!!!
"ドン!"
「いてててて、、まずい!バケモノが!」
空はさっきの出来事が夢であったことに気付いた。
「はあ、世界を破滅に導くバケモノね〜。一度会ってみたいものだね!!てか今何時!!!」
12時。学校には8時半までに行かなければならない。
「うわああああああ!!!!!!」
「次はないからな!」
「………」
「返事!!」
「はい…」
「いけ!!」
(はあ、寝坊と分かっても頑張ってきたのにな〜、
少しぐらい褒めてもいいじゃんか!!)
「おい〜!空!お前最近寝坊多いな!なんかあったか?」
「強郎〜!聞けよ!俺は今日バケモノと対峙して!…」
「あ〜、もういい。いつもの厨二病大炸裂は良いから」
「はあ、厨二病だなんてひどいな…みんなに
夢がないだけさ。」
「お前は夢見過ぎだ。お前あれだろ授業中不審者が
来たらどうやっつけようとか想像してただろ!
俺もしてぜ?小4の頃」
「だ、だまれ!!そんな事してねーよ!」
そう、空は厨二病なのだ。だが行動に移すことはない。
思考型の厨二病なのだ。
「ところで空、今日暇か?」
「ん?暇だけど?」
「あ〜、じゃあさ、カラオケ行かね?」
「いく!!!おれも行きたかったんよ」
「うーし!じゃあ放課後すぐな!」
「おーけー!」
授業がおわり、二人はすぐに家に帰った。
空は準備してすぐ家を出た。
(いや〜、カラオケとか久しぶりだな〜。
俺の美声をいっちょ響かせてやるか!)
「ちょ、そこの君〜。」
いかにも不良のような見た目をした4人組が
声をかけてきた。
「はい、、なんですか、?」
「あの〜、俺ら今金なくて〜、貸してくんね?」
「あ〜、すいません、今お金持ってないんですよ。」
「へ〜w」
"ドガッ!"
「うっっっ?!」
不良の一人が空のみずおちに蹴りをいれた。
「一応確認させてもらうねー。おぉ!
入ってるじゃーん!5000円もあんぜ〜!」
「や、やめろ!」
「騒ぐんじゃねぇ!」
"ガン!"
空は思い切り顔面を蹴り上げられた。
くそっ、俺がスーパーパワーを持っていたら…
なんてこと思ってる場合じゃない、、
このままだと、お金もとられるし、このパターンは
これからもパシリにされるやつだ、、
そうわかっていても何もできない。
恐怖と痛みで体が動かない。
(くっ、くそ……)
「おい、、、何してんだ」
(ん、?この声は…)
見ると強郎がいた。
「あ?なんだてめぇは。あ〜さてはコイツのダチか。」
「お前名前は?」
「おぉ、無視かよ、おもしれぇ。名前か?伊達順平だ。」
「そうか順平。何してるんだ?」
強郎は相当キレている。だが順平達はさらに
煽るように、空の頭に足を乗っけた。
「いや〜こいつがさぁ、俺らに嘘ついたんだよね〜。
それで傷ついたから、慰謝料2万要求したんだけど、
こいつ5000円しか持ってなくてさ〜。
あと1万5000、ダチならお前が払えよ。」
「…よけろ」
「あ?聞こえねーよ」
「足よけろっていってんだよ!!!」
強郎は順平の顔面を思い切り殴った。
さすがは強郎。
成績優秀スポーツ万能。おまけに高身長、
顔もイケメンという出来杉くん以上の
出来杉くんこそこの男、裏主強郎なのだ。
さらにさらにキックボクシングを
習っていて、成績は全国4位の実力の持ち主だ。
そんなやつの全力パンチを受けた順平は
一撃ノックアウト。
順平はリーダー格だったらしく、他3人は
逃げていった。
(え、、強すぎ…)
空はそう思いながら助かった事に安堵し、気を失った。
「…!!」
「…ら!!」
「そらー!!!!おきろー!!!」
"ベチン!"
べちん…?起きると妹の頼子が、
泣きそうな顔をして自分を見ていた。
「よかった〜、、おとーさーん!おかーさーん!
にーちゃん意識戻ったよー!」
そういうとみんな集まり、
どれだけ自分を心配してくれたか、
あの後自分は気を失って強郎が家まで
運んできてくれたことなどを聞いた。
「心配かけて…ごめんなさい。」
「もー!にいちゃんが元気ならいーよ!!」
頼子が泣きながら言った。
「まあ、無事で何よりだわ…。とにかく今日はゆっくり
休みなさい。」
「そうするよ…。ありがとう。父さん、母さん、頼子。」
そういって、空は布団の中に潜った。みんなの前では
強がっていたが、くやしい。この感情がデカかった。
(自分が夢や妄想みたいに強かったらな…。
危機察知能力とかあったらな…。って、何想像してんだ…。
これだからいつまでも弱いんだ…。)
そう考えていると、いつのまにか空は眠っていた。