#6首都高レースと正体
クォーンッガコックォーン
「拓巳。ロードスターの調子はどうだ?」
「問題ない。相変わらずいい加速だ。」
湾岸線に入りスピードを上げた拓巳は前のS2000にどんどんと迫って行った。
2台はやがてコーナーへ進入する。
2台は同時にブレーキングをしたが拓巳のロードスターとS2000のブレーキ性能の差は大きかった。
「オーバースピードだ。膨らむ。」
拓巳の言う通りにS2000はコーナーで膨らみ体勢を崩しながら曲がった。S2000が体勢を立て直す頃には前にロードスターはもう居なかった。
「いいパッシングだ。拓巳。前はあと3台。」
拓巳のすぐ前にはMR-Sが走っていた。
「次のコーナーで追いつけるかな。」
拓巳は高速コーナーをパワースライド気味に曲がり、MR-Sにサイドバイサイドの状況に持っていった。
「さすがはMRだな。立ち上がりが速い。」
「拓巳。ここからしばらくストレートが続く、ニトロでも何でも使って抜かないとマスタングに置いていかれるぞ。」
「了解。」
拓巳がセンターコンソールにあるニトロのスイッチを入れる。だんだんとロードスターのスピードが上がり、MR-Sを抜き去る。
「あと2台。マスタングがかなり前にいるから、前のZ4をさっさと抜かないと本格的に置いていかれるぞ。」
「分かってるよ!」
悪態をつきながら拓巳はZ4に近づく。
「コーナー速いな。けど、ストレートではどうかな!」
Z4とロードスターはコーナーは互角だが、立ち上がりはZ4より軽いロードスターの方が明らかに速かった。
「迅。マスタングはどれだけ前にいる?」
「だいたい2コーナー先だ。」
「ニトロ使って間に合うか?」
「拓巳の腕次第だ。」
「あっそ。」
拓巳は迷いなくニトロのスイッチを入れる。
「よし、並んだぞ。」
拓巳から迅へ無線が飛ぶ。
「向こうも生半可なチューニングじゃないらしいな。」
拓巳の無線に対し迅の返答が飛んでくる。
「こっちもニトロなしの限界で走ってるが、並んだままだ。」
ロードスターのスピードメーターは、限界の325kmを指していた。
「ニトロは?」
「これ以上使うと水温が高くなるから使えない。」
「なら今は離されずに並ぶことに集中しろ。後ろは気にしなくていいから。」
「わかってる。」
ロードスターとマスタングの後ろにレースの参加車両はもう見えなくなっていた。
「次で一般道に降りるぞ。」
「そこで仕掛ける。」
拓巳はアクセルを抜き、マスタングより後に湾岸線を降りた。
「ここだ!」
ガコッヴォンッ!クォーンッ
一般道に降りたすぐのコーナーでロードスターはクロスラインをとってマスタングを抜いた。
その後はマスタングに抜かれることはなく、拓巳は1位でフィニッシュラインを通過した。
「拓巳、よくやったな。」
「当たり前だろ。」
ドドドドドッキィッ
そう話す2人の前にマスタングが停まった。マスタングのドアが開き、ドライバーが降りてくる。
「時間があったらこの後ついてきてくれないか?」
フルフェイスヘルメットで顔は見えないが、ハッキリとした声で言ってくる。
「迅、どうする?」
「俺はいいぞ。」
「分かった。案内してくれ。」
〜数分後〜
ロードスターとマスタングはひっそりと佇むガレージの前に来ていた。
「こんなとこがあるとはな。」
「いい所じゃないか。」
拓巳が迅に対して言う。
「ふぅ。」
マスタングのドライバーがヘルメットを外すと中から長いブロンドヘアが出てきた。
「女だったのか。」
迅が驚いたように言う。
「やっと私の求めていた人に会えた。」
どこか安心したようにそう呟いた。
どうもyamaneくんです。
またまた遅れました。すいませんっ!ずっと言ってますけど、次は出来るだけ早く投稿します。今回挿絵は結構手抜きです。次は頑張ります。次回はより詳しく正体に迫ります。
ではまた。