#3真夜中の峠レース
「3、2、1、スタートッ!」
ヴォンッ!キュルルルッ クォーンッ
シュパンッ!
「あっ!迅の奴ニトロ使ってスタートダッシュしやがったぁ!」
まだアクセルを開けたばかりでホイールスピンしている拓己のFDの横をニトロを使って見事にスタートダッシュを決めた迅のランエボⅩが追い越して行った。
「ほらほらー拓己。早く来いよ。」
「お前、ニトロでスタートダッシュはずるいだろぉ!」
「悔しかったら付いて来い!」
「くっ。1コーナーで追いついてやる。」
ガコッヴォンッギャァァァァァッ!
拓己は宣言通り1コーナーで迅に追いついた。
「お前相変わらずドリフトを使ったコーナー勝負は強いよな。」
「『は』ってなんだよ!『は』って!コーナーしか勝てないみてーじゃん!」
悪態をつきながら完璧なドリフトで拓己は迅を抜き返した。
「うわっ。前に居たR35nismo、ストレート抜けそうじゃん。」
「拓己。そのストレートを抜けたらしばらくストレートが無い連続コーナーが続くからすぐに抜けると思うぞ。」
「確かにそうだな。」
「あのR35nismoコーナー下手だ。」
「宝の持ち腐れだな。」
ギャギャギャギャギャッ!
「うわっ、すっげーアンダー。下手すぎだろ。」
ヴォヴォンッギャァァッ!
拓己のFDがアウトへ膨らむR35nismoのインを突き、高速ドリフトで抜いて行く。
「お前、攻めすぎだ!10cm位しか車間がなかったぞ!」
「いや10cmもあんじゃん。」
「確かに空いてるけどなぁっ!もしR35nismoが戻ってきたら当たってたぞ!壁じゃねーんだからな!」
「下手だからそれはないだろ。」
「まあ一理あるな。」
拓己と迅は順調に順位を上げて残りは1位のトヨタA80型スープラだけとなった。
しかし、コーナーを抜けてストレートに出るとトヨタの名機2JZエンジンが火を吹いた。
「何あの清々しいまでの直線番長。」
「かなりチューニングがしてあるが足回りは全然だな。」
「どこで抜く?迅。」
「よしっ、次の連続コーナーで行くぞ。」
ドッヴォンッギャァァァァァァァァッ!
拓己は綺麗なラインを描いて抜き去って行く。だが、迅は少し膨らみスープラを押すようになってしまった。
「あっ、やべっ。」
ギャァンッ!
姿勢を崩しながらスープラはアウト側に避ける。しかし、姿勢を崩したことで大幅に失速してしまったスープラはすぐにバックミラーから消え去ってしまった。
「迅、大丈夫か?」
「俺は大丈夫だ。」
「やらかしたな。」
「言うな。」
「じゃあ先にフィニッシュラインを切るのは俺だな。」
「さすがにそれは許さないな。」
残りの4コーナーで拓己と迅は前後が入れ替わりながらフィニッシュラインまで走っていった。だが最終コーナーでは拓己の方が1枚上手だったのでこのレースの軍杯は拓己に上がった。
その後このレースが原因で迅はスープラ乗りの男の反感を買ってしまい、1体1のレースをすることになるのだがこれはまた別のお話。
「よしっ、ガレージに戻るか。」
「そうだな。」
「今何時だ?」
「ちょっと待ってろ。…今は11時だ。」
「もうそんな時間か。そりゃあ眠いわけだ。」
大きなあくびをしながら拓巳が言う。
「ガレージに戻るまでは寝るなよ。」
「そんなことしねーよ!てかお前大丈夫か?」
「何が?」
「いや。さっきスープラを思いっきり押してただろ。恨まれてんじゃねえのか。」
「大丈夫だろ。なんかあってもボコボコにするし。」
「怖っ!」
そんなことを話しつつこの日は終わった。
どうもyamaneくんです。
今回は投稿が遅れてしまいすいませんでした。次はできるだけ早く投稿できるようにします。次回もよろしくお願いします。
ではまた。