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空人は気ままに世界を歩む  作者: しんた
第四章 魔物の卵
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諦めるしか

 占いの結果は正直なところ残念なものだったが、これも前向きに捉えれば何かいい方向へと向かうかもしれない。


 外れる確率も2%はあるらしいから、それに期待するのも……。

 いや、それはよくないか。


 諦めるしかないだろうな。

 女難の相がどの程度のものかは、さすがに占った本人にも分からないらしいが、悪質なものでないことだけは確かなようだ。


「恐らく、というとても曖昧な言い方になってしまうのだけど、トーヤさんを慕っていることは確かだと思うわ。

 そういった悪意のような気配を感じないし、不幸な未来も()えない。

 当人にとっては楽観視できないかもしれないけど、これはこれでいい結果として考えるとそこまで悪い気持ちにはならないと思えるわ」

「まぁ、なるようになるだろ」

「相変わらずポジティブねぇ、トーヤ君は」


 こちらに意識を戻したラーラはどこか嬉しそうに言葉にする。


 ……そういえば中学の頃、タロットカードで未来を占ってもらったことがあるが、その時に出たのは5枚のカードだった。

 あれはたしか、法王の正位置、戦車の正位置、力の正位置、運命の輪の逆位置、吊し人の正位置、だったか。


 これを独自の解釈で判断した結果は確かこうだった。

『この先の未来にはとても大きな試練が待ち構え、状況を打破するためには強い意志が必要となるが、先に進もうと強く願うもうまくいかずに歯痒い思いをする。

 それを解決するには忍耐が必要』


 最初は笑い話だと思っていたが、今にして思えばそういったことを感じるような出来事には出合わなかったとも思える。

 それがいつの未来を示しているのかも分からないと笑っていたが、まさかとは思うがあれが当たっていた、もしくはこれから訪れる、なんてことにならなければいいが……。


 占いとは、時として大きな力を感じさせるような結果を導き出す場合がある。

 特にこの世界ではそれを一個人の能力として体現させてしまうらしい。

 なまじ巨大な力の流れを感じさせるスキルというものを加えたことで、その結果すらも想像だにしない驚異的な的中率を叩き出してしまうものなのかもしれない。


 続けてフラヴィも占ってもらうが、想像していたものと違う答えが返ってきた。


「……あら? フラヴィちゃんの未来はまったく視えないわね」

「そんなことあるのか?」


 未来が視えないという言葉が意味するものがいいとはとても思えない。

 考え込んでしまう俺に、彼女は笑顔でそれに答えた。


「これは必ずしも悪い結果とは言えないのよ。

 私の占いは、悪い結果こそはっきりと視えてしまうものなの。

 それこそ現実と同じような視覚で認識することがとても多いの。

 そういったものはまったく視えないし、似たようなことは稀にあるのよ。

 ……だけど、ここまでまったく視えないのは初めてのことね。

 何かとても大きな転機がフラヴィちゃんに訪れるのかしら……」

「……不安だな」

「大丈夫ですよ、きっと」


 笑顔で即答するパティだが、それを鵜呑みにはできない。


「……なぜ、そう思うんだ?」

「心配してくれる"お父さん"が傍にいるからよ」


 そう言葉にした彼女は俺の膝でうとうとしてるフラヴィを見つめながら、優しい眼差しを向けていた。

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