なんだっけ
《……》
……?
《……》
……あなたは、誰なの……。
《……》
……いま、なんて言ったの……。
《……。
…………》
……よく……聞こえない……。
《…………。
………………》
《対…とのコネクトを確立したわ》
《ありがとう。
これで聞こえるかしら?》
……?
……聞こえるけど、お姉さんは誰?
……さっきのは別のひと?
《それよりも、体調に変化はある?
体がだるかったりしないかしら?》
……大丈夫だよ?
《そう、良かったわ。
でもね、あまりそのままの状態でいると良くないの。
すぐにでも調整しないといけないのだけれど、私はここを離れられない》
……チョウセイ?
《ここでの会話を、あなたはきっと忘れてしまう。
その体もしばらくは大丈夫だから、あなたは何も心配しないで。
それと、本来あなたが持つべきはずだったものを、これでようやく渡せるわ》
……持つべきはずのもの?
……ようやく渡せる?
《いいのよ。
随分と時間がかかってしまってごめんなさい。
でもね、それだけあなたが成長したと言えることだから、私は誇らしく思うわ》
……よく……分からない……。
《大丈夫。
今はそれでいいの。
……さぁ、そろそろ朝よ。
お目覚めなさい》
……うん。
* *
「……ん……」
ぼんやりとしたまま辺りを見回す。
少しだけ小さな妹と、あたしよりもずっと大きい妹がすやすやと眠っていた。
あたしはどこか安心した気持ちで、大好きな人の腕を枕に瞳を閉じた。
ふわふわとした幸せな気持ちでいると、ふいに何かを思い出す。
それが何かは分からず、心がもやもやした。
あれは、なんだったのかな。
……たしか……夢……?
そう、夢を見ていた気がする。
何の夢かは憶えていないけれど、とても大切なものだった気がする。
とても大切で、とても……なんだっけ……。
……思い出せない。
でも、おうちにいけば分かる。
それだけは確かだと思えた。
ここからそこまで離れてないし、あとでトーヤに相談してみよう。
……あれ?
……おうち?
……あたし……どうして……。




