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空人は気ままに世界を歩む  作者: しんた
第十五章 笑顔で歩いて行けるように
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全面的に

 ようやくまもとな受け答えができるようになったディートリヒたち。

 随分と時間がかかったが、デザートを食べ終える頃には現実へ戻ってきたし、自分たちがどれだけ強くなれたのかを実感できたようだ。


 この世界の常識からすれば考えられないかもしれないが、それでもあの力は必須だと思えるからな。


「トーヤの言う通り、ゴーレムみたいな敵だったんだな」

「アンデッドすべてに言えるかは分からないが、少なくともダンジョン内に出没する方は魔力で動くみたいだからな。

 繋ぎ止めている魔力の楔を断ち切るだけで簡単に倒せるんだよ」


 エックハルトの話によると、町の外で遭遇するアンデッドとは違うようだ。

 迷宮のはどちらかというとゲームに出てくるような存在に近いのかもしれない。

 他の魔物と変わらないような悪意しか感じなかったし、話に聞いた歩く不死者ってのはまるで魂に取り憑いたような魔物みたいだからな。

 直感が鋭い子供たちとは遭わせたくないと本気で思えた。


 そういった存在の多くは大抵、激戦を繰り広げた"戦場"で出遭うと聞いた。

 この国も今でこそ落ち着いてるが、友好国となる前は東の国も敵国だった時代があったそうだし、20年ほど前に西端の国と隣国が揉めた際、力添えをしたとラーラさんから学んだ。

 次いで多いのが光の届かない森らしいから、これらはなるべく避けるべきだな。


「まさか、あれほど効果的だとは思ってなかったよ……」


 そう言葉にするディートリヒだが、実際にはまだ力を使いこなしているわけじゃないこともしっかりと話さないといけないな。


「みんなに教えたのは身体強化魔法と武術の基礎、魔力の流れを見る方法だけだ。

 はっきり言うが、まだまだ練度が足りないと思って行動したほうがいいよ。

 教えた3つの技術に限定したとしても、対人戦では巧く使えない可能性もある」

「そりゃあ、あれだろ?

 要は経験と鍛錬が必要って意味だよな?」

「あぁ。

 1時間は魔力の鍛錬をするといいよ」

「それなんだけどよ。

 本当にそんな短時間でいいのか?

 もっとがっつりするべきなんじゃ……」


 フランツの言うように、短いと思われるかもしれない。


 だが1時間は短いようで結構長いし、何よりも意味があるんだよ。

 それもこの世界じゃ知られてないんだろうな。


「身体的な技術に関してはある程度積んだほうがいいと思う。

 でも集中力ってのは、それほど長続きしないんだよ。

 人によっても変わってくるんだが、大体50分から90分と言われてる。

 だから60分くらいがちょうどいいと思うんだ」

「長ければ90分は集中できるんだろ?

 なら、がっつりやってもいいんじゃないか?」

「その直後に襲われたら、目も当てられないだろ?」

「なるほど!

 それもそうだな!」

「……素直なのはいいことなんだが、もう少し疑問に思ってもいいと思うぞ……」


 まるで子供たちを相手にしているような素直さに驚きを隠せない。

 もっとこう、"何の意味があるんだよ"とか聞いてもいいんだけどな。


 そう思っていると、清々しい笑みで断言された。


「トーヤの言うことに間違いはねぇからな!

 俺は全面的に信用してるんだよ!」

「そこは"俺ら"と言ってほしかったですね。

 ともかく、トーヤさんのお陰で僕たちは強くなれました。

 それに驕らず、慢心せず、これからも努力していきましょう!」

「そうですね。

 大切なことを教えてくださったトーヤさんの信頼を裏切らないよう、研鑽に努めましょう」


 気持ちは分かっていたつもりだが、言葉にしてもらえると嬉しいもんだな。

 教えた側からすれば門弟が真っすぐ育ってくれるのがいちばんだからな。

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