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空人は気ままに世界を歩む  作者: しんた
第十五章 笑顔で歩いて行けるように
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子供たちの装備

 一拍置いて、みんなが身に着けている装備の話を始めた。


 その見た目からは想像もつかないほど強力なそれらは、この世界においても明らかに異質だと断言できる性能を持つものだった。



 フラヴィの着ている装備は"白月(はくげつ)"シリーズの一式だ。

 一言で表現するなら、これはドレスアーマーと呼ばれるものだろうな。


 この鎧に限らず160階層で手に入った魔道具はすべて、着る者に合わせてサイズを調整してくれる。

 入手段階では大人用のサイズだが、身に着けようとするだけで変化する。

 いったいどういった仕組みになっているのか俺にはまったく見当もつかないが、子供たちでも着られる防具が手に入ったのはこの上なくありがたかった。 


 白を基調とした胸部や肩部、腰部を守る金属製の軽鎧と、フィッシュテールスカートに上品なフリルが印象的につけられたもので、生地にしか見えないが金属のような強度を持つ上に驚くほど軽く、フラヴィの持ち味である速度を十分に発揮できる鎧となっている。


 フロントの丈が短くなっているスカートだから、上品な大人のドレッシーさを淑やかに演出するその姿は、年齢を重ねるにつれてより美しく洗練された佇まいに見えるだろう。

 金属製のニーハイ装具と足具も、すべて同じ"白月"装備一式に含まれる。


 魔法攻撃力と魔力、さらには速度をかなり上昇させる効果があるこの装備は、剣と魔法を巧みに使い始めたフラヴィに合っていると思えた。

 見目麗しい戦う令嬢に見えて目立つんだが、可愛いから気にしないようにした。


 ドレスアーマー自体は、それほど特殊な装備ってわけでもないみたいだしな。

 これまで何人か似たようなものを着ていた冒険者を見た。

 恐らくは悪目立ちしないだろう、と思う……。


 武器は"インヴァリデイトダガー"。

 対象の特殊効果を5秒間無効化し、無属性ダメージを与える短剣だ。

 恐らくこれ以上の業物はそうそう巡り合えないだろうな。



 ブランシェのは"春風"シリーズの一式だ。

 斥候のように速度を重視した動きのできる軽装で、その見た目こそフラヴィの着ている"白月"とは違って落ち着いた印象を持つが、防具に内包された力は確実にそれ以上の性能を持つ。


 この子の持ち味である速度を相当量上昇させ、防御力にも直結する耐久値と、さらには物理攻撃力や筋力まで底上げしてしまう凄まじい装備だ。

 単純な性能としてなら"白月"よりも前線向きで、近距離での戦闘に特化したものだと言えるだろうな。


 魔法に関してはまだまだ拙いブランシェだが、近接のスペシャリストとしての将来性を感じさせる防具として彼女を守ってくれるだろう。


 武器は"氷刃の欠片"と銘が付けられた、氷の結晶体のような美しいダガーだ。

 水属性攻撃力をかなり上げるだけじゃなく、ブランシェでも風属性の魔法が使えるようになった。


 とはいえ、自属性である水魔法もまだまだ修練が必要だから、攻撃として戦闘で出すには難しい。

 暑い時にそよ風を起こして3人で涼んでいたくらいの使い道しかまだないが、いずれは努力次第で旋風や小さな竜巻くらいは出せるようになるかもしれないな。



 エルルが装備しているのは"星屑"シリーズだ。

 防御力や魔法防御力が高いのはもちろん、長所を活かせる魔力と魔法攻撃力、自属性の魔法攻撃力とMPまで底上げするすさまじい効果を持つローブで、先端に星をイメージしたデザインのスタッフも一緒に付いていたんだが、これを装備しなくても一式装備ボーナスは得られるみたいだな。


 黒というよりは夜空を連想させる美しい輝きのあるローブに腕を通したエルルは、『"無明長夜"と一緒だね』と嬉しそうな笑顔で話していたのが印象的だった。

 裾に小さなプラチナ色の星がいくつか散りばめられているもので、可愛らしさも感じさせるエルルにぴったりの装備だ。


 魔力、魔法攻撃力、自属性魔法攻撃力がとんでもなく上がるだけじゃなくMPも相当増えるから、身長を超えるほど大きな"星屑のスタッフ"を持って思い切り魔法を放つと、正直笑えないほどの威力に跳ね上がった。


 ある程度使いこなした頃に魔弓を手に入れ、以降スタッフはインベントリに放り込まれた。

 エルルは矢の本数や威力を自在に変化させられる"ミスティルテイン"を好んで使っている。


 この子は魔力量がかなり多いようで、桁違いの威力になる魔法は好まない。

 そのため"マナブースト・ガントレット"と同じように封印された装備となった。

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