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空人は気ままに世界を歩む  作者: しんた
第十三章 大切な家族のために
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こんな場所まで

 40階層に出ると、冒険者の気配を感じた。

 動いていないところから、どうやら扉が開くのを待っているようだ。


 こちらを視認しても嫌悪感がなかったことに安堵する。

 そう何度も同じような連中がいても堪らないし、いたらいたで子供たちの情操教育にもよろしくない。


 できるだけ人とは避けたいところではあるが、10階層ごとのフロアはどうしようもないから諦めるしかないだろうな。


「ふむ。

 今度は大丈夫そうだな」

「……でも、なんか心配されてるみたい……」


 レヴィアはもちろん、エルルの気配を探る力が巧くなってる。

 これまでは人から発せられたものを感じていただけだが、今ならしっかりとそれが誰に向けられているのかも理解できるようになったか。


 驚いた表情の冒険者チームへ近づくように足を進める。

 片手剣と盾のディフェンダー、両手剣のフェンサー、弓と短剣のハンター3人の男性たちと、短剣のみのハンターに魔術師の女性2人で1チームか。


 攻撃寄りのバランス型だな。

 前衛ふたりがどっしりと構えていることから、安定感も良さそうだ。


 リーダー格と思われる盾を持つ男性が、驚きを露にしたまま言葉にした。


「……すごいな、こんな場所まで来たのか……」

「わお!

 ものすごい綺麗なお姉さんたち!」

「それを私の前で言葉にする勇気に敬意を表して、渾身の右拳を進呈しますね」

「……ぁ……すみません……調子こきました……俺はレーネがいちばんです……」

「右拳なんかでいいの?

 なんならボクのダガー、使う?

 研いだばっかで切れ味バツグンだよ?」

「凶器ッ!!」

「……凶器と狂気をかけたのか……わりと余裕があるな……」

「あははっ」


 ……何だか騒がしい連中だな。

 俺の周りにはあまりいなかったタイプだ。

 とりあえず悪いやつらじゃなさそうだし、あまり気にしないでおくか。


 リーゼルの知り合いもいないみたいだな。

 40階層だし、最近他国から来た冒険者ってところか。


 フラヴィとエルルに視線を向けたリーダー格で剣と盾を装備した男は言葉にするが、弓士の男に遮られた。


「さすがにこんな場所を連れ歩くのは危ないと思うんだが……」

「……エヴァルド、その子ら、ただの子供じゃないぞ」

「え?

 ……いや、それもそうか。

 戦えない子をここまで連れてくる意味もないよな。

 まぁ、お互い深く詮索するのはよそう。

 俺たちは探索者じゃなくて冒険者だからな」

「その違いは、ダンジョンにいるかいないかじゃないのか?」


 探索者とは文字通りに迷宮を探索し、魔物狩りや宝箱などの報酬で生計を立てている者たちのことを指す言葉だと思っていたが、どうやら違う意味もあるようだ。


「正しくは言葉通りなんだが、俺が言った探索者ってのは行動が過激な連中、いわゆる迷宮内を歩き回る"荒くれ者"のことを指すんだ。

 そういった連中は他人を必要以上に探ろうとする傾向が強いらしい。

 弱みでも握ってその弱点を突こうとでもしてるのかね。

 とりあえず、俗語(スラング)だと思ってくれていいよ」

「なるほど。

 つまりはそういった連中が確かに存在するってことなんだな」

「残念ながらそうなる。

 俺たちは他国で登録をしてる冒険者で、迷宮都市に来たのも2週間前になるからまだ遭遇はしてないけど、確かにいるって別のチームから警告を受けたよ。

 そういった連中を見つけた場合は迷宮から出てギルドに報告するらしい」


 その理由もおおよその見当はつく。

 それでも、そんな連中を見つけても面倒なだけだ。


 どうやら彼らは見た目通りの冒険者みたいだ。

 さすがに続く言葉は俺の想定外のものだったが。


「俺たちはそんな馬鹿どもとは違う!

 ここには夢と希望、金貨とロマンを求めにやってきたんだ!」

「……そ、そうか」


 拳を胸まで上げながら自信満々に言われると、さすがに戸惑うな。

 気持ちは分からなくないんだが、野盗のような連中が存在するともなれば結構危険な場所に思えた。

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