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空人は気ままに世界を歩む  作者: しんた
第十二章 静と動
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本人以外には

 迷宮に出現する魔物は、"魔晶石"と呼ばれる結晶体をドロップする。

 以前リーゼルから聞いた通りになるが、やはり魔石としての使い道はないと専門家の結論が出ているようだ。


 実物を見せてもらったが、まるで黒水晶の原石ようにも見えるその結晶体をここに持ち込むことでベルツ硬貨に換金できる。

 大きさでも価値が変わるそうだが、魔晶石の透明度によっても違ってくる。

 始めに入手するのは暗く深い色で、徐々に内部が見えるほど透き通るらしい。


 正確な価値に関しては長年勤めた迷宮ギルド職員でも判断が難しく、専用の道具を使わなければ分からないことも多いそうだ。

 単純に魔物の強さや大きさ、種族などで変化していくと説明を受けた。


 当面の目標はお金稼ぎではない。

 しかし、そのまま放置すれば5分ほどで消失してしまうと聞いた。

 無駄にするのはもったいないし、何よりもお金は幅広い使い道がある。

 必要になったら換金すればいいだけだから、拾いながら進んでいくか。


 まぁ、インベントリがあるから手で拾わなくても済むのは助かるな。

 じゃらじゃらと持ち歩くのも邪魔だろうし、持ちきれなくなったら戻らないといけない手間を考えると、面倒なことこの上ない。

 優先するべき大切な目的があるし、人とは違った行動を取らせてもらうか。



 通称"迷宮カード"と呼ばれたものは、ダンジョンに入るのに必要不可欠となるらしく、俺を含め全員に作ってもらった。

 手数料は500ベルツで、再発行も同じ値段となっている。

 随分と格安だが、ここで大金を出させては意味がなさそうだからな。


 魔晶石の換金を含め、多少の手数料は取られているみたいだ。

 これはあくまでも迷宮ギルドの運営費と憲兵等の必要経費となるそうで、いわゆるピンハネする行為はないと女性職員は笑顔で言葉にした。

 それに関しては疑っていないが、そこまで説明をしなくてもと思えた俺は苦笑いで答えるしかできなかった。


 恐らくは彼女なりのジョークのつもりなんだろうが、いまいち胡散臭さが抜けない"迷宮ギルド"の存在に、真顔で受け取ってしまう俺がいた。


 迷宮内でカードを落とした場合も放置した魔晶石と同様、しばらく時間が経過すると消失するそうだが、再発行に戻らずとも行動は記録されるらしい。

 いったいどういう原理なのかと思えてしまうが、これも冒険者カードと同じくアーティファクトと呼ばれているそうだから、詳細の説明をしてもらえたとしても理解できるようなことではないかもしれないな。


 当然、金銭的な価値はなく、本人以外には使用不可となっている。

 とはいっても、銀行のような施設を使うには冒険者カードを提出することになるし、それ以外で必要なことと言えば、迷宮をどこまで到達できたのかを記録するくらいになるはずだ。

 他人のカードを使って進むこともできない上に、時間をかけず再発行ができる点を考慮すると、恐らくは拾われることすらほとんどないと思えた。


 どの道、子供たちは落とすこともあるだろうし、全員のカードはインベントリに放り込んでおこうと思う。

 カミサマが創ったものなら、スキルの中だろうと効果はありそうだからな。

 一応、確かめる必要はあると思うが、まず問題ないだろうと確信じみたものをどこか感じていた。


 いちばん不安なのはブランシェだな。

 カードを見てもあまり興味を示さなかったし、いつの間にか落としてた、なんてことになりそうな予感がする。

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