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空人は気ままに世界を歩む  作者: しんた
第三章 掛け替えのないもの
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冒険者ギルド

 がやがやと賑わいを見せる明るい館内。

 窓からは光が差し込み、観葉植物が彩りを添える。

 内装は石造りでありながら、寒々しくは感じなかった。


 当然、冒険者達もあちこちに見られる。

 入り口から見て右側の壁には依頼書と思われる書類が多数貼り出され、昼すぎとなる現在もそれを確認している者達が多くいた。

 正面には受付と思われるカウンターが置かれ、中央から左壁まで大きなスペースを利用して飲食できる場所となっているようだ。

 そこでは冒険者だけじゃなく、一般人と思われる服装の人達が楽しげに食事と会話を続けている。


「ここの飯は安くて早くて美味いから、冒険者じゃない人も多く利用するんだ。

 俺達も色んな町に行ったが、どこもこんな感じで飲食できるようになってるぞ」

「なんていうか、依頼用の掲示板や受付もあるから、不思議な光景に見えるな」

「まぁ、そうなのかもしれないな。

 大昔はこういった仕組みじゃなかったそうだ。

 そのうち酒を出すようになって、いつの間にか飯まで出していたらしいぞ」

「僕としてはここの食事もおすすめですね。

 種類も豊富ですし、おつまみも美味しいんですよ」

「そういえば、神官は酒を飲んでも大丈夫なのか?」

「厳しい司祭様のいらっしゃる教会に所属していると禁止される場合もあるそうですが、私は大丈夫ですよ。いつも美味しくいただいています」


 それなりに厳しい制限や制約を課している教会もあると聞くそうだが、宗教上は飲酒が禁止されているわけでもないらしい。

 そこに勤める司祭次第で遵守する法が変わることに違和感を覚えるも、教会のことを知らない俺が理解するのは難しいのかもしれないな。


 ついでに聞いてみたが、この世界での飲酒は15歳から大丈夫だそうだ。

 アフリカじゃ15歳から酒は飲めるらしいし、ヨーロッパでは確か16歳からだと聞いたことがある。


 これはビールに限っての話だが、あまり深く気にしなくてもいいんだろうな。

 正直興味もないから、酒を飲む日が来るのかも分からないが。


 ……いや、料理酒くらいは自分でも買えるようにならないとダメか。

 かなり強い抵抗感を覚えるが、慣れないとこの先料理が作れないからな。


 そんなことを考えながら、受付カウンターまで進んだ。



 それにしても、冒険者達の視線を集めているのが気になるな。

 俺はライナーから借りたローブを纏い、風貌だけなら違和感がないはずだ。

 さすがに異世界の服は目立ちすぎるから着ているんだが、どうやらこの視線は服装と関係がないように思えた。

 ……この感じは、俺じゃなくてディートリヒ達に注目が集まっているのか?


 受付近くまで進むと、受付に座るひとりの女性がこちらへとやってきた。


「皆様、ご無事で何よりです。

 さっそくですが、ギルドマスターの下までご案内致します」


 丁寧にお辞儀をしながら、淡々と言葉にする女性職員。

 誰もが振り向くような整った顔立ちと、立ち振る舞いや纏っている気配から優秀な女性なのは俺にも理解できた。


 そういえば彼らはギルドから依頼を受けたと言っていた。

 こんな場所で話すようなことじゃないという意味か?

 それとも何か別件で話さなければならないのか。


 一抹の不安を感じながらも俺は彼らに続き、上へと向かう階段に足をかけた。

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