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空人は気ままに世界を歩む  作者: しんた
第九章 空に掲げた手
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劇的に強くなれるはずだよ

 期待感を強く持っているのが目に見えて分かるこの子に、あることを伝えた。


「ブランシェにも水の魔法が使えるかもしれない。

 それを頑張れば、ブランディーヌのような強力な魔法も攻撃の合間に放つことができると俺は思うんだ。

 それにたとえ水属性じゃなかったとしても、魔法をうまく戦闘に活かせれば今よりも劇的に強くなれるはずだよ」

「わぅわぅわぅ!?」


 驚きながらも言葉にするブランシェ。

 その内容は言葉として聞き取れなくとも、気持ちはしっかりと伝わってきた。


「俺も魔法には詳しくないけど、まずは水を出すイメージをしてみるといいかもしれない」

「わぅ? わぅ……わぅ……」


 水……水……と考えながら言葉が出ているんだろうな。

 魔物ってのは姿形が人とは違うだけで、根本的にそう変わらないように思える。

 その心もしっかりと意思を持っているし、何よりも喜怒哀楽がはっきりとある。


 普通のわんこじゃ細かな表情はしないだろうし、魔物ってのは本当にすごいな。

 まぁそれも敵対してくる魔物とはまったく違うみたいだから、この子たちが特殊なのかもしれないと最近では思えるようになってきたが。


 そんなことを考えていると、ブランシェの真上に水滴が集まってきた。

 どうやら水属性の魔法を使えることは間違いなさそうだな。

 ……しかし。


「わぅッ!?」

「まぁ、自分の真上に水を集めてたらかぶるだろうさ」

「わぅぅ……」


 何とも言えない情けない顔をしている子に呆れながら、俺はドライを使った。


 水の重みに耐えられなかったのか、それとも集中力が途切れたのか。

 ともかくこの子もこれで可能性が開けたように思えた。


「魔法に関して俺は素人だし、エルルは火属性の魔法を使う。

 ここからは正しい知識かも分からない曖昧なことしか話してあげられないから、自分なりにその魔法を高めてみるといいと思うよ。

 エルルのように相手を制する魔法にするのも、ブランディーヌのように氷魔法で相手を圧倒するのもブランシェの思うまま自由にすればいい。

 その力はブランシェのものなんだから、自分が思い描く力に高めるといいよ。

 俺としては強い魔法を体得して、相手によって威力を変えながら放てると汎用性があって便利だと思うけど、それにはかなりの練習が必要になる。

 まずは魔法で何ができるか、色々と試してみるといいんじゃないか?」


 真剣な瞳で俺の話に耳を傾けるブランシェ。

 風呂上りにドライヤーをかけてふわふわになったような可愛らしい姿をしているが、どんな力としてこの子自身が考えた魔法を高めていくのか興味が尽きない。


 水を氷に変えることができるなら、逆に熱を帯びることも可能なはず。

 相手に熱湯をかけるとか中々えぐいとは思うが、悪党に情けは必要ない。

 行動を制限させるって意味なら非常に効果的だとも思えるが。


 ……まぁ、最悪の場合、俺がキュアⅢをかければいいだけだしな。

 そんな恐ろしい考えが、さらりと俺の頭をよぎった。

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