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空人は気ままに世界を歩む  作者: しんた
第二章 後悔しないのか
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有効活用

 3人のところまで戻ってくると、笑顔で迎えてくれた。

 俺達が盗賊を拾っている間に、洞窟内の連中は鉄格子に放り込まれていた。

 外に転がっていたふたりを同じように入れ、戦利品が置いてある場所に戻る。


「んで? どうする、このお宝」


 金銀財宝を目の前にしてフランツは訊ねた。

 分配という意味ではないと理解できるのは、彼が呆れ顔で話していたからだ。


 流石にこの量を5人で運び出すのは少々骨が折れる。

 しかしこのまま報告すれば、憲兵隊に押収されるらしい。


 そこで俺は提案をした。


「俺のインベントリなら入るかもしれませんよ」

「それだッ!」


 指をさしながら答えるフランツ。

 まだ一度も試していないが、スキルは有効活用しないとな。


 インベントリとは俺が持つユニークスキルのひとつだ。

 性能はここにあるもので試してみたが、このスキルは言葉通り目録を製作したり、在庫管理することのできるものらしい。

 いわゆるアイテムを詰め込むだけのボックスではないようだ。


 やはりというか、これはどう考えてもチート性能だな。

 鑑定スキルと合わせればアイテムの詳細まで確認できるようになるみたいだが、残念ながら俺が持っていたものはアイテムの名称が分かるだけのシロモノらしい。

 剣術のようにローマ数字表記されたら性能が向上するかもしれないが。


 剣術や体術にそういった効果は得られないと、ディートリヒは話した。

 これらに関しては、スキルというよりも称号や専門職に近いと俺には思えた。


 色々試してみたが、3メートル程度の距離なら物を出し入れできるようだ。

 まるで吸い取るようにその場から消えるアイテムに、吸引力の変わらない掃除機を連想したが、これを言葉にしても彼らには理解できないだろうな。


 無造作に置かれた武具を回収し、俺は手にしたものを確認しながら言葉にする。


 ダガー7本、ショートソード1本、レイピア1本、ロングソード2本、ブロードソード2本、トゥハンドソード1本、メイス2本。すべて鋼鉄製だ。


 ここにはあの連中から取り上げたものも含まれている。

 ボスだけにいい武器を持っているかと思いきや、一般的な片手剣だった。


「ま、盗賊稼業でいいもんを簡単に購入できるとは思えないからな。

 買えたとしても足元見られて高額で、とかそんなもんだろ」


 呆れた様子でフランツは話すが、その推察は恐らく正しいのだろう。


 弓はショートボウ1本、ロングボウ1本。

 数え方は1張りとか、1丁なんて言うのかもしれないが。

 ライナーに見てもらったが、普通の弓で間違いないそうだ。


「弦も一般的な麻みたいですね」


 残念そうに話すライナーだが、いいものなら換えようと思ってたみたいだ。

 弓は手に馴染むものを見つけるのも難しいらしいが、良品なら使い続けて少しずつ慣らしていくものだと彼は話した。

 武具屋でも店頭に並ぶとその日のうちに売れてしまい、いい物はそうそう見かけないのだそうだ。


 防具は一般的な獣の革鎧が2つと、鋼鉄製の胸部鎧がひとつだけだった。

 先輩達の話によると、防具は本人に合わせないと装備できないので、それほどいい値段で買い取りはしないらしい。


 恐らく捨てたんだろうなとディートリヒは話した。

 ここにあるのは連中用、ということなんだろう。


 魔導具である小手は、そのまま売却することで意見が一致した。

 確かに便利なアイテムだが、あれに頼るのは危険だと俺が話したことと、盗賊の頭が所持していたことが装備しない大きな理由となった。


 道具に罪はないので、欲しいと思う人に有効活用してもらおう。

 使い方さえ間違えなければ、有用なものであることは間違いないのだから。


 他にもポーションやら、毒薬を含む下衆な薬やらが大量にあるようだ。

 名前を出しただけでも彼らの顔が歪んだのが印象的だった。

 ここにいた盗賊どもは、本当に碌な輩じゃない。

 俺はそれを強く再認識した。


 鉱石やら宝石やら硬貨やら、様々なアイテムをインベントリに放り込んだ中で、気になった武器を見つける。

 両手で持つようにして剣を取り出すと、ディートリヒの眉がピクリと動いた。


「……レリアの白銀剣……」


 真剣な眼差しで言葉にする彼の表情に、空気が変わったように感じられた。

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