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空人は気ままに世界を歩む  作者: しんた
第六章 僭称するもの
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怪しく思えてきた

 フラヴィのローブを作っていると、ブランシェもようやく起き出したようだ。

 随分とねぼすけだが、あくびをしながら体を伸ばす仕草で俺は気がついた。


 どうやらこの子も急成長したようだ。

 肩高30センチ、体長は50センチか。

 小さなシベリアンハスキーくらいにまで大きさが成長したが、あれらとは明らかに違う可愛らしい顔立ちで、本当に狼なのか怪しくなってきた。

 ……大きくなればブランディーヌみたいな精悍(せいかん)な顔立ちになるんだろうか?



 人間の姿で俺の隣にちょこんと座るフラヴィを見てブランシェがどう思うかは気になったが、特に変化を見せることはなかった。

 それどころか、いつものように朝ご飯をねだるこの子に、大物の器を感じた。

 いや、何十年か経てば、この子も大物になることは間違いないはずだが……。


 ごはんを用意している間、ブランシェはフラヴィを乗せて遊んでいた。

 どうやら人間の姿だろうと仲の良さは変わらないようでホッとした。

 匂いか、それとも波長がそうさせているのかはわからないが、仲良く遊んでいるふたりを見ていると悩んでいたことがどうでもよくなってくる。


 3歳児を乗せた真っ白な北海道犬にしか見えないが、一応は狼……なんだよな?

 だんだん怪しく思えてきたんだが、深く考えない方がいいかもしれない。



 先ほどフラヴィの歯を確認したが、立派な歯が揃っていた。

 子供でも歯が生えていることに違和感を覚えるも、魔物の特性やスキルの影響を受けているのかもしれない。

 これについても答えの出ない問答として、俺は考えるのをやめた。


 どうせ都合のいい答えしか頭に出てこないんだ。

 それなら俺と同じ物を食べられるようになったことを喜ぶべきだろうな。


 ブランシェは元よりしっかりとした歯が生えていた。

 おまけにこれだけ大きくなれば肉だろうと噛めるはずだ。

 ともなれば、何か美味しい物をこれからは作ってあげられそうだ。


 乳児向けに作ったお粥や、素材本来の味しかしない小魚とか果物とか。

 そのどれもが料理とはとても言えないような拙いものだったし、これからはしっかりとした食育もできそうだな。


 ……ようやく大量に買い込んだ野菜やら肉やらを使うことができるのか。

 これで俺も楽しく料理をしながら修練ができるようになった。


 ついでだし、ある程度はテーブルマナーも覚えさせた方がいいか。

 これからは飲食店にも寄ることがあるだろうし、この子達に恥をかかせない程度には学ばせるべきだな。


 小さな大型犬並みのブランシェを店に入れてくれるかはわからないが……。

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