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空人は気ままに世界を歩む  作者: しんた
第六章 僭称するもの
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目に見えて

 ブランシェが仲間になって3日。


 今日もふたりは元気に湖畔を駆け回る。

 その姿は仲のいい姉妹にも見えなくなかった。


 気になっていた種族間トラブルもこの子達にとってはまったくないようで安心したが、今後はそういったこともあると仮定して考えていく方がいいかもしれない。


 ああいった問題は、わりとシビアで面倒なものになる。

 正直なところ、自我が目覚めていきなり険悪、なんてことにならないかを心配しているが、この子達を見ているとそんなことにはならないとも思えるな。


 このまま仲のいい姉妹として成長していってくれると、俺も嬉しいんだが。



 しかし楽しげなふたりの姿は、そう時間をかけずして変化を見せた。

 すでにへろへろのフラヴィは突き伏せるように地面へ倒れ込む。

 そこをブランシェは尻尾をぶんぶんと振りながら抱きつく。


 とても可愛らしく思える姿ではあるんだが、やはり体力の差は顕著に現れているな。


 さすがにピングイーン属の子供では追いつけないほどのスタミナを見せていた。

 そもそも狼とペンギンの魔物を比べれば、身体能力に差が出てもなんら不思議ではないんだろうが、それ以前にこの子はあのブランディーヌの子供だからな。

 フラヴィよりもあとに生まれているはずなのに足腰がしっかりしているだけじゃなく、体力が凄まじく高いのが目に見えて現れていた。


 フラヴィの体力は、恐らくピングイーンの中でも悪くないだろう。

 陸地であることも考えれば、この子の体力が低いとも思えない。

 人間の年齢に換算すればまだまだ幼児と言えるはずだし、すでに道場のちびっこ達を遙かにしのぐスタミナは持っている。

 これなら修練も十分に積めるだろうし、技術的な面を考えなければ冒険にだってもう出られるだけの身体能力があるのも間違いないだろう。


 これは、ブランシェがすごすぎるってことなんだろうな。

 母親から察すると、この世界でも相当高位の種族だと思えるし、この子は冒険へ出られるだけの体力がすでにできている。


 それに動きも悪くない。

 いや、かなりいいと言えるだろう。


 何気なくフラヴィにじゃれていたようで、その実しっかりとこの子の動きを予測しながら行動に移しているのが傍目からでも理解できるほどだ。

 肉食系の動物は親兄弟とじゃれながら狩りの訓練をしてるって言うし、ブランディーヌの姿から戦闘に特化した魔物なのは確実だ。


『安心していい。

 この子が自立するまで、俺がしっかり面倒を見ると約束する』


 そう彼女と約束をしたが、俺にできることといえば技術的なものと知識を少し教える程度くらいしかないのかもしれないな……。


 この子は身体能力が高すぎる。

 むしろ、その高さが問題になることも考えられる。

 幼くしてこのスタミナは扱いきれない、なんてことになるかもしれないな。

 そこはしっかりと注意して見守るしかない、か。

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