ラ・リューシュ【春の詩企画】
~ ラ・リューシュ ~
六角形の窓のなかには、いのちがたくさん詰まっている
こそこそとした囁きは意味をなさず
ただ整然とするのみで
混沌は、忘れ去られてしまったのか
わたしたちの生みの親は、愛は……
うつくしいのは、壁に空いたちいさな穴からあぶれだす汁
わたしたちがつくりだしたそのうつくしい汁は、いずれわたしたちを呑みこんで
世界を征服してくれるだろう
整然とした隊列に対抗しうるのは
濁流となった、それ、だけなのだから。
モディくんに乾杯。
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『ミツバチのささやき』という映画では、ミツバチがメタファーとしてうまく使われています。
また、ヘシオドスの叙事詩『神統記』では……、当時の(または作者の?)女性観を表すのに雄蜂がたとえとして使われています。現代であればかなりひどい女性観です……。
ヘシオドスつながりで、もうひとつ。
「混沌」「愛」は、ギリシャ神話では「カオス」「エロス」です。
『神統記』によると、最初に生まれたのがカオス、そしてエロスやガイア(大地)が生まれる……
愛は、大地などとおなじく原初の概念なのですよ。
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本作は「春の詩企画」参加作品です。
企画の概要については下記URLをご覧ください。
https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1423845/blogkey/2230859/(志茂塚ゆり活動報告)