表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/106

第卅九話〜かんハピ♪〜

 ……報連相は大事


「八咫烏! 八咫烏は何処ですか!」


「おや、天照様ではありませんか。何か御座いましたか」


 怒り狂った形相で殴り込んできた皇祖神と、きょとんとして尋ねる太陽を象徴する三本足の烏。


「何かではありません! 天帝殿への連絡はどうしましたか! 事前連絡が無かったと詰られてるんですよこっちは!」


 詰問され、記憶を掘り起こす八咫烏。鳥頭に期待するのが間違いだったかと天照が思い始めた頃である。何かを思い出したのであろうか、八咫烏が声を上げた。


「………………あっ」


「焼き鳥にしますよ」


「お待ち下さい! これには深い訳が!」


「ほう、聞かせてもらいましょう」


「じ、実はですね……」


「実は、何ですか」


「……あの時は呑んでましt痛い痛い痛い頭握らn潰れるゥ!」


「全く、この馬鹿者が! 金星神にはしっかりと伝えること! 分かりましたね!」


「分かりました分かりましたから早く頭を離しtギニャァァァァァァ!」


 以上、神々の楽しい日常の一幕である。


 ……これでも父親である


 信楽宮、大極殿。

 高御座にましますは聖武天皇、下方にて頭を垂れるは太政大臣。


「陛下、唐土より報告が御座います」


「うむ、聞こう」


「では、申し上げます。北方において、鉄や銅を始めとする各種鉱物の産出が確認されています。元々武照めが用いていたものですので、そのまま引き継ぎがされました」


「銅が安定して出てくるのは良いな。銭の普及に繋がる。鋳造の方はどうか」


「陛下の思し召しの通り、唐土にて銭貨の使用が根付いております故、それを基盤にして新たな銭を試作しております。また、冒頓の率いる者達を主とした西方との貿易路も確保されました」


「そうか。益々国が栄えるな」


「仰る通りです。……さて、最後は宮中からの報告です」


「そうだ、それを待っていたのだ。疾う申せ」


「……親王殿下は悪き事なく、元気に且つ順調に成長しているとの事です」


「流石、清らなる朕が息子! よし今から様子を見に」


「まだ執務は残っておりますよ陛下。殿下可愛さに国を傾けられては困ります」


「…………分かっておるわ」


「執務が終わったら問題御座いませんから、どうか今はお仕事を……」


 今日も内裏は平和である。


 ……晴明、南へ行く


「御使様、此方が件の田畑に御座います」


「おお、これですか。……成る程、土地も肥沃で、用水路も完備。正に理想的ですね」


 周の南部、曹操が治めていた土地に、陰陽頭は派遣された。目的は、南部の農作状況と取れ高の見積もり。可能なら田を増やせる場所の選定。以上三つである。


「ふむ、あっちは土地が余っているようですが……」


「ああ、あちらも良い土地では御座いますが、従来でも手一杯なのでこれ以上は増やせんのです」


「そうですか、そうですか……分かりました。これで目的は果たせましたかね……」


 陰陽頭が帰ろうとしたその時、農民から声が掛かった。


「御使様、小腹も空く頃合いだろうと思いましたので、我等で簡単な食事を作って参りました。どうぞ御賞味下さい」


 そう言って差し出されたのは、未だ盛んに湯気を立てる白く楕円形の物。陰陽頭も見た事があるものであった。


「ほう、餅ですか。では早速……むぐむぐ、うむ、これはむぐむぐ中々にむぐ美味ですねむぐ。米の甘さ美味さがむぐむぐ良く伝わってきますむぐ。……ふう、ご馳走様でした」


「お粗末様で御座います。他にも漁村の者が干物を持って参りました。此方もどうぞ」


「おや、本土では見ない魚ですね。折角ですから此処で、火に炙って頂くとしましょう」


 今日の唐土も平和である。

此処までお読み頂き有難う御座います。

評価感想その他諸々、お待ちしております。


さて、次回からは第四帖です。お楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ