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第1節 はじめに

【注意】


 本稿では、『たまごかけごはん』という言葉が頻出する。別に、サブリミナル効果は意図していないが、無性に『たまごかけごはん』が食べたくなる恐れがあるので、(特に深夜や空腹時は)注意されたし。

 『たまごかけごはん』は素晴らしい。

 美味しいし、栄養たっぷり、簡単で、しかも、安価だ。


 一般的には「お手軽」と見なされてる『たまごかけごはん』だが、残念なことに『たまごかけごはん』を作れない人も存在する。

 「なにをバカなことを。『かけてまぜる』だけじゃねーか。誰でも出来るだろ!」と言いたくなるかも知れない。


 だが、それは出来る立場の人間の台詞だ。

 誰もが当たり前のように出来ることでも、それが出来ない人がいるのだ。


 実際、筆者はロクに働いておらず、他者とまともにコミュニケーションもとれず、恋愛経験なぞ無論皆無であるし、朝起きて夜寝るという行為すら満足に出来ない。

 ネトゲに夢中になれば、食事を摂るのも忘れ、トイレに行くのも億劫になり、近くのペットボトルに手が伸びる有り様だ。

 そういう「人間として当たり前の行動」すら出来ない人間が、この世には多々存在するのだ。この事実を決して忘れてはならない。

 「自分が出来るから、他人も出来る」という思い込みは、傲慢以外の何物でもない。


 本稿はそうした「どうやって努力しても卵かけご飯が作れなかった人たち」に向けて書かれたものである。

 一人でも多くの読者の皆様が、自分で作った卵かけご飯を美味しく食べられること、そして、『たまごかけごはん』作りを通じて人間的に大きく成長することを、筆者は強く願っている。(註1)


 ただし、非才な身ゆえ、全ての人々に救いの手を差し伸べるのは不可能である。そのことを先に深くお詫びしておく。

 残念ながら、下記の該当者は本稿を読んでも、十分な効能を得られる保証がないことにご留意いただきたい。


1.アレルギーの方


 卵かけご飯には「卵、醤油、米」が使用されている。該当アレルギーの人は『たまごかけごはん』の摂取により、重篤な状態に陥る危険性がある。

 活字アレルギーの人は既にブラバしていると思われる。

 人アレルギーの人は、筆者と同様に引きこもっていると思われる。たまには日光を浴びることをお勧めする。

 酸素アレルギーの人は、今までどうやって生きてきたのか、是非ともご教授願いたい。


2.日本語が読めない方


 本稿は日本語で著されているので、日本語を理解できないと何を書いてあるのかチンプンカンプンであろう。むしろ、今ここに書いていることすら、通じないであろう。翻訳機能を用いれば、なんとかなるかもしれないが、その場合の効果は保証しかねる。

 それよりも、日本語を読めずにどうやってここにたどり着いたのだろうか?

 不用意にリンクを踏まないことを強く推奨する。特に、母国語以外のエロサイトを閲覧している時には(経験者談)。


3.スゴい卵かけご飯を期待している方


 本稿で述べるのは、あくまでも「普通の卵かけご飯」の作り方である。

 「究極の卵かけご飯」や「至高の卵かけご飯」を期待するのは間違いである。

 本稿を参考にして、最近流行りの卵かけご飯専門店を開業したり、新聞社主催の料理対決に臨んだりしても、満足する結果が得られる可能性は限りなくゼロに近いであろう。


4.異世界にいる方


 中世ヨーロッパ風の異世界では「新鮮な卵、大豆、米」の入手は困難であろう。

 たとえ、ご都合主義によってそれらが存在したとしても、安定的供給・品種改良・発酵など問題は山積みだ。

 日本人の先行転移者の存在、または、作者のネタ切れに期待して、頑張って冒険を続けてもらいたい。

 運良く卵かけご飯を食せた際には、ジャガトマ警察の追求が激しくなる恐れがあるので、その点も留意されたし。


5.身近な人を亡くしたばかりの方


 お悔やみを申し上げます。

 故人のご冥福を心よりお祈りします。

 心身ともに大変な時期に、なんでこんな文章を読んでいるのか、はなはだ理解しかねますが、くれぐれもご自愛ください。


 例外的に、卵かけご飯が大好きだった父親を亡くしたばかりで「オヤジが大好きだったよな。ああ、うめえなあ、卵かけご飯は……」と涙をこぼしながら掻っ込む人がいるかもしれないが、それは筆者の想定せざる所である。


6.人生の重要な問題に直面している方


 以下の例が示す様に、人生の重要な問題に直面している場合は、食事を楽しむどころではないことが自明である。


 配偶者から緑の紙を突きつけられた。

 出社したら、オフィスがもぬけの殻だった。

 子どもを少し強めに叱ったら、金属バットを装備して向かってきた。

 闇金からの催促をブッチしている。

 背中の痒いところに手が届かない。

 地雷を踏んでしまい、足を動かせない。

 ハロワに来ていく服がない。

 トイレで上司の悪口を言っていたら、個室からその上司が出てきた。

 落下中である。

 セレブマダムから「Hするだけで大金が貰える」という旨のメールを受け取ったので、即刻会社に辞表を叩きつけてきた。

 追っかけていたアイドル・声優のキス写真が流出した。

 嫁にプラモを捨てられた。

 先ほどから周期的に肛門を襲うビッグウェーブと格闘中である。

 フルスモークのベンツに追突した。

 ファミレスで30分待ってるけど、オーダーを取りに来ない。

 二次嫁が非処女だったことが発覚した。

 箪笥の角に足の小指をぶつけた。

 コンビニで立ち読みしていたら、いつの間にか外にヤンキーがタムロしていて、出るに出られない。

 靴下に穴が空いた。

 虫歯が痛い。

 溺れている。




□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


(註1)


 本稿は一般的な読者を対象としており、叙述の平易さを求めるために、論理の厳密さを多少犠牲にせざるを得なかった。

 この分野を専門とされる方には、その様な瑕疵が気になるかもしれないが、筆者の力量不足ゆえ、とご容赦願いたい。

 まさキチです。

 本作は全11回の短い作品です。

 今日から毎日0時と12時の1日2回投稿します。

 最後までおつき合いいただければと思います。


 感想・意見・批評、なんでも大歓迎です。

 とくに、『たまごかけごはん』専門家からのコメントをお待ちしております。


【宣伝】


 『 神様とアパート同棲して勇者バイトはじめたはずが、気づいたら幼女魔王を子育てしてた』同時連載中です。


 本作品のような真面目なエッセイではなく、手軽に読めるラノベです。

 テンプレ要素皆無のバカ話ですので、よろしければこちらもお楽しみ下さい。

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