第一章~左眼に隠された力~ 続。
前回の続き。
夕
「調査の続きは明日か」
黄昏時。
帰路へさしかっかた時、何かの気配を感じた。付けられてるのか、否か。
路地へ隠れこっそり見る。
ごくり......。
すると、挙動不審な行動をする少女が一人、道端で佇んでいた。
「「可笑しいな。あれ、こっちに来たはずなんだけど......」」
やはり、付けられていた。しかし、悪い奴ではなかったことに安堵しているうちに気づかれた。
「「あっ、いた。」」
相手は死者。壁を通り抜けては、浮遊する。自由自在に身体を使い追いかけてくる。
そんな彼女凝視したとき、あることが閃きその場に止まる。
つまり、死者は物体を通り抜ける。ならば、止まっていても捕まりはしないだろう。と、思った矢先に捕まった。
「えっ」
あまりの衝撃と誤算に絶句した。
「「捕まえた」」
少女は朗らかに喜んでいる。その様子から、彼女は実に華奢だと思った。
「「もう逃げられないぞ」」
その無邪気さは実に可愛らしいものだった。見た目は僕と同い年といったところか。
この子も死者なんだよな。
人間ってこんなにも柔いものだったのか。と改め実感する。
そんなことを考えていた。祖母の死があったため、そういうことにかんしてはとても敏感だ。
「「...い。....ーい。おーいっ。聞こえていますか」」
はっと我に帰った。怪訝そうに見つめる彼女は何度も問いてきたらしい。
「何だよ、ストーカー」
僕の声に反応した彼女は、顔を赤らめ恥ずかしそうに、
「「スっ、ストーカー。誤解だよ」」
何が。と問おうとした瞬間、脳裏に電撃が走る様にいい考えが浮かんだ。
刹那僕は、左手で眼帯を付け直した。
「見えないぞ、聞こえないぞ」
すると、笑いが底からこみ上げてきた。
自嘲し、自嘲した。
なんて馬鹿だ、僕は。左眼を開けなければ、そもそも死者は見えないのだ。
僕は高鳴る胸を抑え、家へ帰った。
僕は馬鹿だ。多分、今もこれからも......。
図書館いいですね。
たまに図書館に出没し、書いています。
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