第一章~左眼に隠された力~ 続。
前回の続き。
昼
「おばあちゃん」
静かなリビングに響くそれは、壁と共鳴しているかのようだった。
すると、祖母は。
『木葉、私は死んだのね。迷惑を掛けてごめんね』
祖母の声は実に陳腐だ。けれど、その声音はどこか長閑で暖かい。
なぜかその一声は、僕の心を強く引き締めた気がした。
光を失った筈の左眼が映す祖母は、依然とリビングに座っていた。
右眼を瞑ると、視界はたちまち暗黒に閉ざされる。
右眼を開けると、祖母が居る。
今、木葉が置かれている状況に整理が追いつけていない。
何故。の疑問符が頭の中で暴れている。
「わけがわからない、どいうことなんだよ」
放たれた一声とともに怒気がこみ上げてくる。
冷静さを失った彼は勢いよく、玄関の扉をこじ開けた。
「え......」
僕の眼に映る景色は一変し、祖母のような状態のヒトがあちらこちらに見受けられた。
状況を整理すべく、頭をフルに回転させる。
何度も、何度も、何度も......
出た答えは、確証など一つもありゃしない。けれど、これを否定することができなかった。
《左眼には死者を映すのだ》
出た答えが、嘘のようにも思えたが眼に映る世界が解答なんだと体は理解していた。
呆然と立ち尽くす僕に死者は、笑った気がした。
『その眼に映す世界が、お前が生きる世界だ』と。
後方より、突然サイレンが鳴り出した。
死者は、殺人事件だと歓喜の声を張り上げていた。
「化け物め」
彼らに僕の声は届いたのだろうか、否か。
突如、僕を刹那横切る彼女は、可憐で、いとうつくしゅうていたり。
年を越し、初っ端から夜更かしです。
寝れなかったので続きを書きました。
ご意見、ご感想お待ちしております。@Rin_1012_