序章④
次の更新は8月です。
と書きましたが今はもう11月です。
12月上旬まで死ぬほど忙しいので、それまで更新できませんがネタは死ぬほど溜まっているので、ご期待ください。
クラン名にもあるように「第109親衛空挺師団」の十八番は空挺降下作戦であり、空挺作戦だけに関して言えば、WoWクラン中の最高峰と言っても良かった。勿論、練度に関して言えば、「フォルゴーレ」や「第1空挺団」など、「第109親衛空挺師団」に比肩しうる有名クランは存在するが、空挺軍だけでこれだけの規模を維持しているクランは他にない。「合州国」、「赤龍共和国」など大手クランでも、空挺の装備や兵器の開発と配備に於いては「第109親衛空挺師団」の後塵を拝しているといった状況であることから、如何に「第109親衛空挺師団」が空挺作戦に於いてトップクラスであるかということが窺い知れる。
だが、トップクラスなのは空挺軍に関したことだけであって、戦車や艦船などの分野では、他の中堅クランと比べるとかなり劣っていた。つまり、「第109親衛空挺師団」は空挺に特化したクランであり、戦車戦力や海上戦力を捨てることで中規模クランでありながら、大手クランに匹敵する空挺軍を保有することが可能なのであった。
そのクランが所有するハンガーには、ИЛ-76МД(IL-76MD)、Ан-12(An-12) 、Ан-22(An-22)といったエアボーンに用いられる輸送機や制空戦闘機であるСу-27(Su-27フランカー)、対地攻撃機Су-25(Su-25フロッグフット)など航空機、更にはМи-24(Mi-24)などの攻撃ヘリも収納されている。
そして、鉄筋コンクリート造のアラートハンガーには、МиГ-29(MiG-29フアルクラム)がスクランブルに備えて、万全の状態で待機していた。
「カルちゃん~おるかー」
薄暗いハンガーの奥から興奮ぎみな声が聞こえてきた。
「その声は、イヴァンさんですか?今、行きます!」
「お、居った、居った」
ハンガーから耐Gスーツを纏ったカルちゃんこと、カルシウムが姿を現した。スラヴァはカルシウムを見るたびに、残念イケメンだと思わざる終えなかった。身長190cmを超える大柄なイヴァンと比べると、すらりとした細身の高身長の金髪のイケメンである。
「カルちゃん、久しぶりやな」
「どうもです。イヴァンさんも気づかれましたか!」
「ん?なんや、カルちゃんも気づいとったんか」
神妙な面持ちのイヴァンがやけに嬉しそうなカルシウムに話を切り出す。
「俺らもどうしようかと思ってな。ナスビさんに助けを求めようと思ったんやけど、Call機能も使えんようになっとるんやわ。ほんで、他にも同じような状態のクラメンがおらんかと探しとったんやわ。カルちゃんも同じかあ」
「へ?」
「ん?気づいとったんやないの?今、Callもログアウトもできんくなっとるんやわ」
「ログアウトもですか?!」
カルシウムはタブレットを取り出し、画面のログアウトの表示を何度も押すが、何の反応も起こらない。
「まさか、これは……」
実際はロシア空挺軍は自前のヘリや航空機は保有していません。