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第109親衛空挺師団   作者: 火日精進
プロローグ
11/14

序章⑨

5年経っても序章が終わりません><

「なんや、えらい綺麗やないか」


幽霊でも出そうな佇まいの『開発局』であっただけに、イヴァンは塵一つ落ちていない板張りの床を見て驚いた。


「そうっすね、なんかイメージしてたのと違いますね」


スラヴァも外観との差に驚きながら、あたりを見回した。玄関は小ホールになっており、天井は2階ほどの高さがありサッカーサイズの白熱電球が吊り下げてあり、ワックス掛けされた木製のフローリングは踏むのを躊躇してしまうほど光沢を放ち、白熱球の暖色で照られた白の漆喰の壁が落ち着いた雰囲気を醸し出していた。


「中はこんな洒落とったんやな。『司令部』と『航空基地』の生き帰り通るだけやったから、知らんかったわ」


「内装と外壁はピランデッロさんの趣味なんすかね。あんまり話したことなかったんで、分からないですけど」


「施設の設計はある程度自由にプレイヤーが行えるので、これはピランデッロさん自身の設計だと思いますよ。僕も『航空基地』の設計はクラマスのなすびさんに任せてもらって、滑走路とか管制塔の配置をやりましたから」


「これで合点がいったわ。今までレイドしてきた他のクラン拠点の内部構造が全部違ってたのは、自分で設計できるからか」


「それWoWの売りの一つっすよ、イヴァンさん……」


「いや、戦争シュミレーションゲームと言えば、醍醐味は戦闘や、スラヴァ君。建築要素はおまけやと思うけど、こういう考えやから付き合いがないクラメンがおるんやろなあ。反省やな」


「まあ、イヴァンさんが戦闘狂っていうことも要因の一つかもしれませんが、ピランデッロさんはイヴァンさんと対極で戦闘よりも兵器設計に血道を上げる人なので、同じクランでも今まで接点がなかったのは、当然じゃないかと。僕もなすびさんの紹介がなければ、話す機会もなかったでしょうし」


「まあ、この変人クラブあらため変人クランに所属してるクラメンに社交性を求める方がおかしいのかもしれんな」


「変人筆頭が言うと重みが違うっすね」


「誰が変人筆頭や」


「お二人とも漫談はそこまでにして、ピランデッロさんを探しに行きましょう」


このクラン唯一の常識人なのかもしれないカルシウムの言葉にイヴァンとスラヴァは肩を竦めて、再び室内を見渡した。


「探すって言ってもなあ、カルちゃん、結構広そうやぞ」


イヴァンが指摘するように玄関の小ホールから続く廊下と中庭を挟んで大小20以上もの研究室があり、その奥にもさらに建物が見えていた。


「そうですね……。3人で手分けして探すほかないですかね……」


カルシウムが前髪をかき上げながら、研究室の方を見やりながらうんざりした様子で言った。


「あの~何かお困りでしょうか」


イヴァン、スラヴァ、カルシウムの三人は驚いて玄関の方を振り向いたところ、そこには白衣を着た研究員らしき小柄な女性が立っていた。


「あ、いや、えーと、なんや、あー」


突然のことに言語野が停止しているイヴァンの代わりにカルシウムが喋り始めた。


「ピランデッロっていう人を知っているかな。ここに居るはずなんだけど」


白衣の女性はカルシウムの顔を見て、さっと顔を赤らめて上ずった声で答えた。


「あ、ピランデッロ所長ですね。31倉庫にいらっしゃると思います!案内いたします!」


カルシウムが「ありがとう」と謝礼を述べて笑顔を見せると女性は恥ずかし気に目を伏せて、「こ、こちらです!」と先頭に立って歩き始めた。


後ろでポカンとしているイヴァンと何か不満げに腕を組んだスラヴァにカルシウムが言った。


「問題解決!さあ、行きましょうか」

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