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自己紹介をしてみる

今回長いです。

 「君!複合属性魔術制御の固有能力者だったの!?」

 

 戦闘が終わるとすぐにスキンヘッドのお兄さんが寄って来て俺の肩をガッシリつかんで超振動シェイクアップをしてくる。

 

 「ちょっと、モルグさん。やめてやんなよ。その子疲れてるんだから」

 

 見かねた猫耳のお姉さんがスキンヘッドのお兄さんを止めてくれた。

 スキンヘッドのお兄さんのホールドから解放された俺に猫耳のお姉さんが手を伸ばす。

 

 「驚かせて悪かったね。あたしは、リディア。さっきは、見事な火炎魔法だったよ」

 

 俺は、リディアさんの手をつかんで立ち上がった。

 すると、リディアさんの側にウィンドウが出現した。

 

 「あっ。それがリディアさんのステータスですか?」

 

 思わず指をさして尋ねる。だが――。

 

 「ん?すてーたす?」

 

 どうやら見えていないようだ。

 つまり、このステータスのウィンドウを見れるのは俺だけのようだ。

 改めてリディアさんのステータスを見てみる。


 リディア・エメリッヒ

 種族:猫人ケットシー

 HP:428/785

 MP:128/128

 職業:剣士、傭兵

 種族能力:聴覚強化Ⅲ

 職業能力:空刃斬撃、高速二連斬

 固有能力:移動速度強化Ⅱ

 

 「……俺より、多い」

 

 少なくとも俺には、種族能力と職業能力っていうのは無かった。なぜだろう?

 

 「あの…リディアさんって、能力を複数持ってたりするんですか?」

 

 分からないので思い切って聞いてみる。

 

 「え?ああ。そうだよ。生まれつき持ってる固有能力の移動速度強化とあたしのような猫人ケットシーとしての種族能力に加えて、剣士を始めてから手に入れた攻撃系の能力がいくつかあるよ」

 

 なるほど。

 どうやら、固有能力は生まれつき持っているもので、リディアさんのような人間以外の種族は、それに追加で種族能力という物を持てるのだろう。そして、最後の職業能力だが、あれは自分の就いた職業を極めていけば出現するようだ。

 

 「それより、お前の能力の方がすごかったぞ?」

 

 今まで黙っていた灰色の髪の大男が口を開いた。

 

 「俺は、ライアン。さっきは助かった。感謝する」

 

 男が名乗ると、彼の横にウィンドウが現れた。

 このウィンドウ、本人が名乗ると出現するようだ。

 ライアンのステータスは。


 ライアン・ラブレース

 種族:ヒューマン

 HP:678/980

 MP:56/56

 職業:傭兵、剣士、盗賊

 種族能力:なし

 職業能力:大切断、高速斬り、車輪斬り、索敵Ⅱ、鍵開けⅢ

 固有能力:威嚇ハウル

 ※状態異常:出血


 

 「ちょ、ちょっと!血!血が出てますよ!」

 

 わき腹から垂れる血を無造作にぬぐうライアンさん。

 

 「ん?気にするな。大したことない」

 「いやいやいや、ダメでしょ!?」

 

 結構ドバドバ出てますよ?

 

 「はっはっはっ。心配性だな君は」

 

 それを見ていたスキンヘッドのお兄さんが笑いながら声を掛けてきた。

 

 「いや、心配性って…」

 「だが、まあ確かに。結構な出血量だな」

 

 右手をライアンのわき腹に当てながら言う。

 

 「治癒ヒール止血治癒ブラッディキュア!」

 

 スキンヘッドのお兄さんの右手から出た光がライアンの傷を包み癒す。さっきもやった技だ。

 光が消えた時には、ライアンさんの出血も止まりステータスのHPも回復していった。

 

 「さて、自己紹介しよう。わたしは、モルグ。見ての通り治療術師だ」

 

 モルグさんの隣にウィンドウが現れる。

 

 モルグ・サイファー

 種族:ヒューマン

 HP:280/280

 MP:678/980

 職業:治療術師、修道僧

 種族能力:なし

 職業能力:治癒系統魔術Ⅲ階位、状態異常回復魔術Ⅱ階位

 固有能力:治癒魔術強化Ⅲ、魔力上限増加Ⅰ

 

 固有能力を二つ持っている。

 こういう人もいるようだ。

 

 「さあ、君の番だ。君は、一体何者なんだ?」

 

 モルグが両手を広げて訪ねてくる。

 

 「俺は――俺は、シュンヤです。名前は、シュンヤって言います」

 

 正直に答えておく。

 

 「へえ、シュンヤ君か。変わった名前だね?なぜここに?」

 「それが、俺にもいまいち分からなくて…」

 

 とりあえず、気がついたらこの森にいて、ここに来るまでの記憶が一切ないと伝えておいた。

 

 「……なるほど。事情は分かった。ところで君――」

 

 顎に手を当てて難しい顔をするモルグさん。

 

 「二つの属性の魔術を使えるのかい?」

 「え?」

 「いや、さっき君が使った魔術さ。君は、炎と水の魔術を使っただろう?」

 「ああ。はい。そうです。確かに俺は、炎と水の魔術を操れます」

 

 あと、三つあるけど。

 

 「それって珍しいんですか?」

 「そりゃあ、もちろん!二つの属性魔力を操ることが出来る奴なんて王国中探して数えるほどしかいないよ!」

 「……ちなみに、三つとかそれ以上の数の属性を操る人は?」

 「そんなの聞いたことないね。まあ、いないと思うよ?もし、そんなことが出来たら、それこそ伝説や神話の世界の話だ」


 よし、決めた。

 俺が五つの属性を操れるのは秘密にしておこう。

 目立たない方がよさそうだ。

 

 「ちょっと、モルグ。あたしの傷も回復してよ」

 

 やや興奮気味のモルグさんをリディアさんが窘める。

 

 「ああ。すまんすまん」

 

 そう言って治癒ヒールを掛けだすモルグさん。

 

 「ところで、シュンヤ。お前は、これからどうする?行くあてでもあるのか?」

 

 ライアンさんが両手剣を担ぎながら聞いてきた。

 

 「いや、特に…」

 

 実際、ないし。

 

 「そうか。俺たちはこれから森のはずれにあるコルダ村という村に戻る。よかったらお前も来るか?」

 

 この時、手を刺しのばしてくれたライアンさんの微笑を俺は一生忘れないだろう。


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