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次元を超えて
その日、俺――二敷俊也は数少ないクラスの友人(オタク友達)と共にファミレスで遅めの昼食兼テスト勉強兼オタトークを満喫していた。
趣味だけが生きがいで趣味のために生きていると言っても過言ではない俺にとって、その生きがいを共有できるのは実に充実した一時と言えた。
やがて、時刻が五時ごろになり、空もオレンジ色にその色合いを変え始めた頃合いに勉強会(仮)もお開きとなり、俺は帰路についていた。
中学までは誰とも自分の趣味を共有できず、寂しい思いをしたが今は、隠さずに自分の気持ちを打ち明けられる友を授かって、そのことを本当に幸福だと思っている。
そんな感傷的な物思いにふけっている時だった。
「な……!?」
突如、足元に黒い幾何学的な文様が描かれた。
それは、どことなくファンタジーの魔法陣にも似ていた。
やがて、その魔法陣からあふれ出た闇色の光が俺を包み込み、俺は意識を失った。
楽しんでいただけたら幸いです。