二百文字詩集「コトダマのざわめき」

るすばんでんわ

　ちょっと遠くまで買い物に行ってたから、帰るのが遅くなっちゃった。

　家電が記録していたその声には、愛しい愛しいあなたの声。

　言っていることはあたりまえのこと。一番欲しかった言葉。

　そしてその最後に、なによりの愛の言葉。

　遠く離れてるからって、顔も見れないからって、うまくいかない二人なんかじゃないんだよね。

　あなたの声を生で聞きたいな。今度はいつ遊びにくるんだろう。

　あなたに掛け直すと、やさしい声が迎えてくれた。