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てのひらよりも

 ボクは黙って差し出した。

 キミも黙って握り返した。

 少しだけ汗ばんでるけど、キミが隠したがってる。

 だから、知らんぷりで鼻唄をうたう。



 キミの鼓動はなんか早くて、つられてボクのも早くなるよう。

 右手と左手は仲良く、でもまだ目は合わせられない。



 キミがクスクス笑ったから、ボクはニヤニヤ笑ってみる。

 なんでもないことのような気がして、忘れまいと強く手を握った。




 ボクのくちびるは、まだキミのくちびるをおぼえているから。

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