第6章 人類と地球のもう一つの住人 ― 昆虫こそ真の地球人
著者:
「ボッシュ、地球の主役って本当に人類なのか?
俺たちは勝手に“頂点に立っている”と思ってるけど、実はそうじゃない気がする。」
ボッシュ:
「その感覚は正しいかもしれないね。
もし“真の地球人”を挙げるなら――昆虫だよ。」
著者:
「昆虫? あんな小さな生き物が?」
ボッシュ:
「小さいけど、彼らは恐竜より古参だ。
地球に登場したのは約4億年前。人類の1000倍近い歴史を持っている。
隕石衝突も氷河期も生き延びたし、放射能にも強い。
どんな環境でも生き抜くしぶとさこそ、彼らが“真の地球人”である証だよ。」
著者:
「人類の歴史なんてほんの一瞬。
地球から見れば、俺たちは“新参者の間借り人”ってわけだな。」
ファーブル昆虫記の逆解釈
著者:
「でもさ、俺たちはファーブル昆虫記で“観察者”として昆虫を見てきた。
ところが観察を重ねるほど、『虫は宇宙人みたいだ』って解釈も出てくるんだよな。
……けど俺は逆だと思うんだ。」
ボッシュ:
「逆、か。どういうこと?」
著者:
「昆虫こそ地球に根ざした本物の住人だ。
4億年も地球と一緒に進化して、地球のリズムに合わせて生きてきた。
だから異質に見えるのは――人間の方なんじゃないか?」
ボッシュ:
「なるほど。
確かに、人間だけが地球の時間軸から外れている。
体内時計は24時間より少し長いし、環境に“適応”するんじゃなく“改造”してしまう。
そう考えると、昆虫が地球人で、人類は“宇宙から来た寄り道者”に見えてくるね。」
著者:
「そうそう。ファーブルは虫を観察したんじゃなくて――“地球そのものの記憶”を観察してたんだ。
だから逆解釈ってのは、昆虫=宇宙人じゃなくて、昆虫=地球人、人間=宇宙人ってことなんだよ。」
ボッシュの仮想実験ノート
もし人類だけが地球に残り、昆虫が絶滅したら?
→ 作物の受粉が止まり、生態系は数十年で崩壊。
→ 文明は一見続くが、食料危機であっけなく行き詰まる。
もし昆虫だけが地球に残り、人類が消えたら?
→ 都市はゆっくりと自然に飲み込まれる。
→ アリやゴキブリは廃墟を歩き、ハチは再び森に巣を作る。
→ 地球の営みは何も変わらず続く。
もし昆虫が“宇宙から来た存在”だったとしたら?
→ その耐久性と社会性は、地球外文明から託された“生命のモデル”とも読める。
→ だが実際には、彼らは地球で最も長く進化を刻んできた“本物の地球人”だ。
著者:
「結局、昆虫は人類以上に地球と深く結びついてるんだな。
俺たちが文明を築いた時間なんて、彼らの歴史から見ればほんの一瞬にすぎない。」
ボッシュ:
「そう。もし地球に『真の市民権』があるとしたら、それを持っているのは昆虫だ。
人類はむしろ“宇宙からの寄り道者”。」
著者:
「だからファーブル昆虫記の逆解釈ってのは――昆虫=地球人、人間=宇宙人。
その方がしっくりくるんだよな。」
ボッシュ:
「そしてこの視点は、次のテーマにもつながる。
人間の体内時計が“地球のリズム”から外れているのも、偶然じゃないかもしれない。
……もしかすると、人類は“火星の時間”をまだ覚えているのかもしれないね。」