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SFショートショート

世界で一番大事な瞬間

 誰でも過去そのものを簡単に見ることの出来る過去テレビが発売されてからしばらくが経ったあるとき、とある集まりでこんな話し合いが行われた。


「この世界で一番大きな出来事は一体なんだろうか。それをみんなで見てみよう」


 そして各々が、自分がこの世界で一番大きな出来事だと思うものを過去テレビで映していった。

 生命の誕生、恐竜の絶滅、最初の文明の誕生、世界宗教の始まり、戦争の終わった瞬間、その他にも色々な場面が映される。


 そしてある年若い男の番になった。その男は過去テレビを操作する前にこう言った。


「いまから映すのは、皆さんが映したのに比べてはるかに地味だと思います」


 そうして始まった映像は、いまから三十年近く前だと思われる街並みだった。全員が、なにが起こるのかと固唾を飲んで見守っていると、画面の中では一人の女性が何人かの男に絡まれ始める。

 そうして少しすると、画面に別の男が現れて絡んでいた男たちと口論をし、そして絡んでいた男たちは捨て台詞とともにどこかへと消えていったところで映像は終わった。


「一体どこがこの世界で一番大きな出来事なんだ?」


 見終わった誰かが不思議そうな声を上げる。すると年若い男は照れたような口調でこう答えた。


「僕の両親の馴れ初めです。僕にとっては、世界で一番大きな出来事なので」

お読みいただきありがとうございます

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