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綿飴みたいな雲だった

全てを言葉にしたら空っぽになる

君を五十音と二十六文字の世界に閉じ込めたら

私は君という人間から逃げて

君を綺麗事で装飾した概念にしてしまう

予感を振り払う

これからのことなんて考えなくていい

これからのことなんて無くていい

これからなんて

だって、君とのこれからはもうない

なら、これからのことなんて

最初から無いんだ

これからなんて存在しないんだ

だから物語の世界に閉じ込めて

凍らせて、閉じ込めて、盗み取らないといけない

私が私のために、そうしないといけない、と正当化する


正直言うと、未だにどうして

「無理かも」と言われたのか分からないんだ

価値観の違いというより、脳のバグだろう

境界線を見誤って悪気もなく堂々と踏み越えた

それが君の中にある確信を踏み躙ったのか

分からないんだ、だから的確に謝れない

どんどん拗れて遠ざかって可能性が収束していく

冷たくて、寒くて、苦しくて、分からなくて

涙が止まらないけど

君を掴めない、これだけが現実で

雲に手を伸ばしながら

指をすり抜ける水蒸気を理解できないみたいに

私は君を諦められないんだ

認めたくないんだ、この現実を、まだ


でもこの感じを知っている

この終わりの香りを知っている

痛いほど知っているから、分かってしまうんだ

なぜ「無理かも」しれないのかは分からないけど

ああもう無理なんだって、分かってしまうんだ

私は、これを、知っていたのに

幼い頃、黒い袋で捕まえようとした綿飴みたいな雲は

確かにそこにあったのに見えなくて

袋に張り付いた水滴の正体が分からなくて

そこが「無理かも」の境界線だったんだ

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