書き留めないと
ー
ー
写真も、言葉も、記憶も、感情も
君の事を思い出すだけで手が震える
涙が熱を持って世界をぐちゃぐちゃにする
頬を伝って一筋ずつ君への想いが外へ逃げていく
それが嫌で一筋ずつ唇で啜る
写真がぼやけて、言葉が薄れて、記憶も穴だらけ
感情は伝って一筋ずつ失われて
刻一刻と死んでいく、君との事が死んでいく
継ぎ足して、増やして、温めないと
刻一刻と忘れて、時間薬に奪われて
どんどん過去に近づいていってしまう
書き留めないと、書き留めないと、書き留めないと
少しでもここに残しておかないと
この愚かな私が解離して健忘してしまう前に
君にモザイクをかけ始める前に
書き留めないと、書き留めないと、書き留めないと
人生で初めて心の底から安心した日々の記憶を
人生で初めて心の底から愛せた時間の事を
忘れたくない、失いたくない、離れたくない
遠くへ行った月のこと、こぼれ落ちた水のこと
自ら不可逆の人生へと招いたジャバウォックを
夢のことを、書き留めないと
好き、と君に言わせた罪を
もう無理かもしれないと、君に言わせた罪を
致命的な幸福に手を伸ばした原罪を
君を好きになった事実を
「大切なものに失ってから気づく、そんなのは嫌だろう」
「失った信頼は戻らないから」
いつか私が得た教訓は一体どこに消えていたのか
知っていたのにな、感じてはいなかったんだ
ー
ー




